【天皇賞・秋】馬だけじゃない2強対決 2人の名伯楽にも注目

[ 2019年10月25日 05:30 ]

アーモンドアイと国枝師(撮影・平松 さとし)
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 【競馬人生劇場・平松さとし】今週末は天皇賞・秋が行われる。

 昨年の年度代表馬アーモンドアイ(牝4歳、美浦・国枝栄厩舎)と新星サートゥルナーリア(牡3歳、栗東・角居勝彦厩舎)が人気を二分しそうな雰囲気だ。

 これは私の個人的な意見だが、両馬の指揮官である国枝師、角居師には共通した一面があるように感じられる。ひと言で言えば、“器の大きさ”だろう。

 2人は共に豊富な経験と圧倒的な知識を有し、優秀な実績を積み重ね、伯楽の名をほしいままにしてきた。しかし、偉ぶったり、おごったりするような態度はまるでない。実績など皆無なのに、文献や見たままの経験だけで頭でっかちな当方の質問に対しても、いつもニコニコしながら誠実に答えてくれる。時には失礼を承知でずかずかと遠慮なく質問をすることもあるが、そんな時でも決して怒ったりはしない。

 例えば国枝師に関すれば、春先にはこんなことがあった。昨秋のジャパンCでは先行して驚異的なレコードで圧勝したアーモンドアイ。あのパフォーマンスを見る限り2400メートルがベストと思えた私は、1600メートルの安田記念に使うと聞いた時「ベストディスタンスより距離が短くなればなるほど負ける可能性は高くなるのでは!?」とズバリ聞いた。すると国枝師は答えた。

 「それは一理あるでしょう。でも彼女はスーパーホースだし、実際に1600メートルのG1も勝っています。大丈夫と信じています」

 結果3着に敗れてしまうのだが、皆さんご存じの通り不利さえなければ勝てていたであろう競馬を披露した。負けこそしたが国枝師の見解に誤りはなかったのである。

 そして何よりも思ったのは、どの路線に行くかを決めるのは決して調教師の一存ではないという点。凱旋門賞を断念したことも、この安田記念挑戦もおそらく国枝師一人で考えたことではないのだろうが、伯楽は決してそれを言い訳にはしなかったのだ。

 サートゥルナーリアとの激突が予想される天皇賞は、名勝負が見られることを期待したい。(フリーライター)

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2019年10月25日のニュース