【オークス】アランカール 3組目となる母娘制覇へ! 母シンハライト譲りの柔軟な筋肉

[ 2026年5月19日 05:30 ]

鈴木康弘氏「達眼」馬体診断

しなやかさが際立つアランカールの馬体
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 史上3組目の母娘制覇だ。鈴木康弘元調教師(82)がG1有力候補の馬体ベスト5をセレクトする「達眼」。「第87回オークス」(24日、東京)ではアランカール、スターアニス、ラフターラインズ、ドリームコア、ジュウリョクピエロをピックアップした。中でもアランカールは、16年のオークスを制した母シンハライト譲りの中長距離体形。阪神JF、桜花賞ともに5着に敗れたが、2400メートルの樫の舞台で逆転の可能性が出てきた。

 初夏の日差しを浴びて芍薬(しゃくやく)の花が見頃を迎えています。関東各地で25度を超える夏日が続いたため例年よりも早く満開になったとか。すらりと伸びた茎の先に咲かせた赤や白、紫、ピンクの華やかな花。公園や民家の庭先を彩るそのしなやかな姿は散歩の足を止めて見とれてしまうほど美しい。ヒンディー語でアランカール(宝飾品)と名付けられた3歳牝馬の、すらりとした姿と重なって見えます。

 430キロ前後の小柄な体でも背中にゆとりがあり、腹下も長い。細めの首差しやトモには量より質に優れた筋肉を備えている。ディープインパクト(母の父)譲りの疲れがたまりづらい柔軟な筋肉。しなやかさが際立つ典型的な中長距離体形です。母シンハライトがオークスを制したのはちょうど10年前。昨年の阪神JFでも指摘しましたが、母も430キロ前後の小さな体に柔らかい筋肉をつけていた。すらりと抜けた首差しも母譲り。同じ道を進む優秀な親子を親子鷹と呼びます。この母娘は親子花。母と同じしなやかな芍薬の花を咲かせました。

 阪神JF時に「物足りない」と注文を付けたトモの筋肉も強くなっています。右前肢内側の骨瘤(こつりゅう)も若馬の成長過程にできるものなので問題ありません。腹周りは少し細くなっていますが、シンハライトの腹もオークス時は寂しく映っていました。膝は少しかぶり気味ですが、芍薬の茎のように長くて良く寝たつなぎがカバーしているので心配ありません。芍薬の中でも「小島の輝(ひかり)」と呼ばれる品種は花弁が赤紫色に輝くそうです。名は体を表す。この小さな鹿毛馬の毛ヅヤも宝飾品(アランカール)のように美しく輝いています。

 馬体がゆったりとしたつくりなら、気性も悠然としています。出走馬の特徴を漢字1字で表した阪神JF時の馬体診断では、アランカールを「悠」と表現しました。今回も同じです。引き手に遊びができるほど悠々とハミを受けている。目と耳を前方に集中させながら力みがない立ち姿。2400メートルの流れにも対応できる落ち着きがうかがえます。

 立てば芍薬、座れば牡丹(ぼたん)…とは女性の美しい立ち居振る舞いを花に例えた江戸時代の流行歌。競走馬の体形を花に例えるなら、中長距離型はスラリとした立ち姿の芍薬、短距離型はふくよかな安定した座り姿の牡丹。阪神JF、桜花賞を連勝したスターアニスは牡丹の大輪のような丸くて大きな筋肉をつけた短距離体形です。距離が延びれば芍薬アランカールに逆転の“芽”が出てくる。芍薬は5月の誕生花。今週末には東京競馬場でも見頃を迎えるでしょう。(NHK解説者)

 ▽母娘オークス制覇 過去には43年クリフジ&54年ヤマイチ、83年ダイナカール&96年エアグルーヴの2組が達成。アランカールに騎乗する武豊にはエアグルーヴ以来30年ぶり4度目のオークス制覇が懸かる。今年は14年オークス馬ヌーヴォレコルトを母に持つトリニティも出走を予定している。

 ◇鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の82歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長。JRA通算795勝。重賞27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。

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