【凱旋門賞】悲願へノーザンF2頭出し!吉田副代表 日本馬の強さフィエール&ブラストで「勝って証明」

[ 2019年9月30日 05:30 ]

フィエールマンで凱旋門賞を狙うサンデーレーシング代表・吉田俊介氏(撮影・村上 大輔)
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 いよいよ今週末に迫った凱旋門賞。悲願達成へ今年は3頭の日本馬がエントリー。国内生産界の巨頭ノーザンファームはフィエールマン、ブラストワンピースの生産馬2頭を送り込む。同ファームの吉田俊介副代表(45)に今年の手応え、そして凱旋門賞への熱い思いを聞いた。

 ――フィエールマンはどの時点で凱旋門賞を意識したのか。

 「昨年の菊花賞を勝った後に、来年はこの馬で行けたらと思っていました」

 ――札幌記念は3着。

 「馬の適性というよりは開催時期と負担重量を重視して選んだステップ。小回り等の条件を考えれば悲観する内容ではなかった」

 ――サンデーレーシングとしてはオルフェーヴル(12、13年2着)以来の挑戦となる。

 「オルフェの最初の年は誰もが勝ったと思ったレース。私も現地で立ち上がって勝ちを確信したんですが…。悔しさというより“こんなことが起こるんだ”という感じでした。翌年(トレヴが5馬身差V)は逆に“強い馬がいるんだ”と冷静に見ていました。それ以来、ようやく挑戦できる馬が出てきました」

 ――ノーザンファーム生産としてはブラストワンピースと2頭出しになる。

 「ブラストも昨年の有馬記念の強い勝ち方を見て、凱旋門賞を意識しました。こちらはハービンジャー産駒で、血統からも欧州の力のいる馬場に適性があると見込んでいます」

 ――新たな試みとして2頭は英国ニューマーケットを調教の拠点とした。

 「普段と同じく坂路を使って調整できるのが一番の理由です。ルメールの助言もあり厩舎サイドとも協議して決めました。できるだけ日本に近い環境で、レース前日の移動も含め馬の気持ちをつくっていく。結果がどうなるかは分かりません。ただ、父の勝己(ノーザンファーム代表)は失敗を責めることはないが、挑戦しなかったことには怒る。その方針の中でトライして、新しいノウハウをつかんでいければと思っています」

 ――ノーザンファームにとって凱旋門賞とは。

 「いつかは勝てると思っていますが、その難しさも痛感しています。よく海外の関係者に“なぜ日本人は凱旋門賞にこだわるのか”と聞かれるが、日本だけでなく世界中のみんなが勝ちたいレースだと思います。ただ、日本人には昔から潜在的にパリへの憧れがあるのではないでしょうか。私自身はそうでもないですが(笑い)」

 ――その夢は着実に近づいている?

 「種馬をつくることだけを考えるならマイルから2000メートルで強い馬を育てた方がいい。でも日本では長い間、馬主さんも生産者も“ダービーを勝ちたい”“2400メートルで強い馬を”。その強い思いで競馬が続いてきた。日本の中長距離の馬は優れている。既に評価されている面もありますが、そろそろ勝って証明しないといけないとは思っています」

 ――最後に抱負を。

 「牧場としては今夏急逝したディープインパクトとキングカメハメハの才能ある後継を育て、それ以外の血統からも新たな種牡馬を出していかないといけない。人気のある種牡馬にするためには、まず競馬でいい成績を残すことが必要。そういう意味でディープとハービンジャーの子で凱旋門賞に挑めるのは大きなチャンスでもある。エネイブルは強いですが、いい結果を期待したいです」

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