【安田記念】インディ“CHAMP”だ!2強撃破レコードV

[ 2019年6月3日 05:30 ]

<安田記念>福永祐一騎乗のインディチャンプは戸崎圭太のアエロリット(右奥)をクビ差でおさえガッツポーズ(撮影・郡司修)
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 G1馬7頭を撃破だ。東京競馬5週連続G1シリーズを締めくくる春のマイル王決定戦「第69回安田記念」が2日に行われ、G1初挑戦だった4番人気の新星インディチャンプが1分30秒9のレースレコードで優勝。鞍上の福永祐一(42)は高松宮記念に続き、今年G1・2勝目となった。G1・6連勝を狙った1番人気アーモンドアイはスタートの不利が響いて3着。2番人気ダノンプレミアムは最下位16着に終わった。

 4歳2強を破ったのは同期のニュースターだった。驚きと祝福に包まれたターフでウイニングランを終え、福永は満面の笑みで検量室前へ引き揚げてきた。「日本で一番強い馬が相手。偶然では勝てない。まさにG1馬にふさわしい走りだった」。何度も首筋をなでて愛馬と喜びを分かち合った。

 「一番気を付けた」と振り返るスタートが勝負を分けた。2強がともに後方に置かれると、競馬場に詰めかけた7万を超える大観衆から悲鳴が上がった。ごちゃつく外に注目が集まる中、インディチャンプは内で好スタートから5番手のインを確保。「好位の内から進めるのは前日の夜に決めた作戦。ポジションを取りに行ってもリラックスしてくれた。イメージ通りだった」。唯一の誤算は4角。目標にしていたダノンプレミアムが手応え悪く早々に後退した。それでもすぐにアエロリットに目標を切り替えた。「前をかわした時に“勝てる!”と思った」。一気に抜け出すと、最後は鬼脚で迫ったアーモンドアイの猛追もしのいだ。「完璧に乗らないと勝てないと思っていた。レース中はとても冷静な自分がいた。その前に乗った9Rの方が緊張していたぐらい」と冗談を交えてこん身の騎乗を自画自賛した。

 1年前は条件戦を走っていた遅れてきた大器との戴冠。「条件戦からずっと乗らせてもらっていたからこそ、馬が持っていた天性の末脚を磨くことができた」。外国人騎手旋風が吹き荒れる中、今年に入って日本人騎手で唯一、G1を2勝。馬づくりに定評がある鞍上にはインディチャンプに競馬のイロハを教え込んできた自負がある。「G1を勝つためにどうすればいいか。自分で考えた答えの通りに乗ってきて、実際に勝てたことは自分にとって大きなこと」と胸を張った。

 今後はノーザンファーム天栄へ放牧に出され、秋はマイルCSを大目標に始動戦を選ぶ見込み。「距離はマイルにこだわりたい。もっともっと成長する余地があるから楽しみ」と音無師。福永も「まだまだ伸びしろはあると思うし、夢は限りなく広がる」と力強い。日本競馬の至宝を破った新星の前途は果てしなく明るい。

 ◆インディチャンプ 父ステイゴールド 母ウィルパワー(母の父キングカメハメハ)牡4歳 栗東・音無厩舎所属 馬主・シルクレーシング 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績10戦6勝 総獲得賞金2億3112万円。

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