【スプリングS】ファイト一発 皐月も嵐呼ぶ!相沢師匠の管理馬で石川重賞初V

[ 2019年3月18日 05:30 ]

<スプリングS>石川裕紀人騎手の乗るエメラルファイト(左)は武豊騎手のファンタジスト(右手前)をおさえ1着 (撮影・西川祐介)
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 師弟コンビでいざクラシックへ。皐月賞トライアル「第68回スプリングS」は10番人気の伏兵エメラルファイトが快勝。鞍上の石川裕紀人(23)は、師匠の相沢郁師(59)の管理馬では初の重賞制覇を飾った。2着ファンタジスト、3着ディキシーナイトまでが皐月賞(4月14日、中山)の優先出走権を獲得した。「第67回阪神大賞典」はシャケトラが1月のAJC杯に続いて重賞連勝。天皇賞・春(4月28日、京都)で悲願のG1タイトルを狙う。

 「シャー!ホーッ!!」

 エメラルファイトの馬上で、石川は声を裏返し何度も雄叫びをあげながら引き揚げてくる。1着の枠場で相沢師が満面の笑みで出迎える。下馬すると真っ先に歩み寄り固い握手で喜びを分かち合った。14年のデビュー以来、相沢厩舎に所属する石川にとって、師匠の管理馬での重賞初V。「先生の馬で勝てたのが、とてもうれしい。調教に毎日乗って、精神面の成長も感じていたから」。石川は顔を紅潮させながら、グッと喜びをかみしめた。

 道中は縦長になった馬群の中団をキープ。「周囲を見渡せる理想的な位置で運べた」と石川。3角すぎから仕掛け、直線入り口で先行集団に並びかける。内で粘るディキシーナイトをねじ伏せると、外に迫ったファンタジストも振り切った。「いい手応えで抜けたが、坂で一瞬だけ止まりかけた。外から来られてもうひと伸び。最後は馬の根性に助けられた」。完璧な騎乗も手柄は相棒に譲った。

 「裕紀人で勝てたのが何より」。師匠の相沢師も思いは同じだ。59年生まれの相沢師は6月で還暦、95年生まれの石川は9月で24歳。「今年は2人とも(亥年の)年男。正月に“2人で重賞を勝とう”と話していたんだ。夢がかなって本当にうれしいよ」。穏やかに言葉をつなぐ師は、ひと呼吸置いてこう続けた。「ここで負けていたら、次(の騎乗)はなかったと思う」。コンビ継続の危機を、自らの腕で振り払った弟子の成長ぶりが、何よりもうれしかった。

 次はもちろん皐月賞。放牧は挟まず厩舎に置き、再び石川が調教をつけて本番に向かう。10番人気での快勝だったが、石川は「次のG1ではもっと応援してほしい」とはにかんだ。相沢師は05年スプリングSを制したダンスインザモアで臨んで以来の皐月賞。「うるさい馬でもないし距離は心配していない。牡馬のクラシックは久々なので楽しみ。師弟でG1制覇?成し遂げられたら最高だね」と締めた。師弟の絆でつかんだクラシック切符。師弟で細心の仕上げを施し、今度は堂々と1カ月後の大舞台へ駒を進める。

 ◆エメラルファイト 父クロフネ 母セトウチソーラー(母の父スペシャルウィーク)牡3歳 美浦・相沢厩舎所属 馬主・高橋勉氏 生産者・北海道浦河町の金成吉田牧場 戦績6戦3勝 総獲得賞金8123万円。

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