【名古屋ダービー】浅井 常にハイレベル維持、最強の「いつも通り」

[ 2016年3月8日 05:30 ]

検車場で気合の表情を見せる浅井

 今年2回目のG1「第69回日本選手権競輪」(優勝賞金6500万円)が8日から6日間、名古屋競輪場で争われる。G1最高峰にランクされる「競輪ダービー王」の称号と今年2枚目のグランプリ切符を懸け、精鋭162選手で熱戦が繰り広げられる。初日は11R・特別選抜予選をメーンに一次予選が行われる。昨年のグランプリ覇者の浅井康太が深谷知広目標に中部ワンツーを狙うが、実力者の武田豊樹に芦沢大輔が続く茨城コンビも好勝負必至だ。

 ダービー王を目指し全力を尽くす。それは間違いない。ただ、今大会だけに向けて入念に準備をしてきた、という表現は浅井には当てはまらない。

 「調子?いつも通りですね」

 はぐらかしているようにも聞こえるが、それは違う。チャンスが来れば、いつでも勝てる状態をずっとキープする。それが浅井にとっての「いつも通り」だ。だからこそ、3日に名古屋バンクで行われたダービー合宿には参加せず、地元でいつも通りに仕上げてきた。

 「いつもと違う環境で、違うメニューをやるよりも、いつもの練習をした方がいい。トークイベントも何件かこなしたが、それは最初から休養の時間と割り切っていた。練習ペースに問題はない」

 特別な練習は行わない。その代わり、常にハイレベルな戦いにすぐ対応できる体をつくっておく。感覚を染みこませておく。それが浅井のスタンスだ。昨年末にグランプリを制し、輪界の頂点に立ったことも、浅井にとっては「過去のこと」。王者は前を向き続けている。

 奈良記念は4日間全て自力戦で今年初優勝。最高の手土産を引っさげ、翌2月24日にはプロ野球元阪神外野手の赤星憲広氏が主宰する「リング・オブ・レッド」に車椅子13台を寄贈した。さらにグランプリ優勝分として10台の追加寄贈を約束した。「親戚に足の不自由な高校生がいることもあって、この活動に協力したいと思った。これからも競輪を通して1台でも多くの車椅子を寄贈したい。継続的に頑張りたいし、そのモチベーションが自分の力にもなっている」

 自分の頑張りが、どこかで誰かの笑顔につながっていく。そのことに浅井はたまらなく喜びを感じている。競輪では先行選手のために体を張る。それが中部地区全体の笑顔になればいい。初戦(11R)は深谷知広とのタッグ。中部の絆をさらに深める一戦となる。

 ▽日本選手権競輪(ダービー)選考基準 正選手162人、補欠選手8人。開催時S級在籍選手から次の基準により選抜する。(1)S級S班在籍選手(稲垣裕之は欠場)(2)日本選手権競輪で過去に3回以上優勝した開催時S1在籍選手(村上義弘=11、13、14年)(3)15年1~12月の選考用獲得賞金額の上位者。特別選抜予選(初日11R、2日目10、11R)出場選手はS級S班在籍選手に加え、15年1~12月の選考用獲得賞金額上位者から順次選抜した。

 ▽名古屋バンクの傾向 癖がないオーソドックスな400メートルバンクで、見なし直線距離は58.8メートルと比較的長い。逃げ、まくり、追い込みとどんな戦法でも力が発揮できるが、過去の当地ビッグレースの傾向では、まくりでの1着が多く逃げたラインは苦戦していた。追い風に乗ると好タイムが出やすいのが特徴。最高上がりタイムはパーキンスの10秒4(13年9月8日)。

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