【平和島・グランプリ】茅原、神業差し初SG 岡山勢初快挙に男泣き

[ 2014年12月24日 05:30 ]

黄金のヘルメットをかぶった茅原は白鵬(右)渡辺直美の祝福を受ける

 茅原、涙の初制覇。SG「第29回グランプリ」の優勝戦が24日、最終12Rで行われ、6号艇の茅原悠紀(27=岡山)が6コースから最内差しを決め、優勝賞金1億円を獲得。パーフェクトVを懸けて臨んだ白井英治(38=山口)は3着に終わった。なお、11Rのシリーズ戦は平本真之(30=愛知)が5コースまくりで決着。ともにSG初制覇。ニュージェネレーション旋風を巻き起こした。

 1Mで大歓声が湧き起こった。無敵のイン戦のはずだった白井に井口と太田が襲いかかる。その瞬間、菊地が狭い間隙をまくり差しで抜け出した。しかし…。それを超える鋭い角度で入ってきたのが緑の弾丸だった。

 茅原だ!!

 「普通のターンをしたつもりだったがバック先頭。“これグランプリやで”と我に返り、パニックだった」。27歳、初SG制覇。無の境地でつかんだ頂点だった。岡山勢による初めてのグランプリV。仲間が待つピットへ急いだ。ヘルメットを取ると、表情は涙でくしゃくしゃだった。「サポートしてくれた家族に早く伝えたい」。減量で頬はコケているが最高の笑顔だった。ウイニングランで歓声を浴びる。ありがとう。ありがとう。何度も頭を下げた。「ボートレーサーで本当に良かった」。人生で初めて男泣きした。

 たった6日間だが、心は何度も揺れ動いた。第1ステージ1回戦を3カドから快勝。「将来を考えて早く獲っておきたい」と強気に語ったが、すぐにそれが甘くないと知る。第2ステージ3回戦。1号艇から勝ち切り、好枠で頂上決戦を迎えるはずが、白井の猛攻の前に3着。「自信を持って行ったのに…。白井さんだけには勝てない」。完全に自信を失った。

 救ったのは岡山の先輩だった。所属するイーグル会の川崎智幸が決戦前夜、悩める茅原にこうささやいた。「ニュージェネレーションの先駆けとして何コースでも勝てる選手になりなさい」。目が覚めた。有利なコースにこだわり、「グランプリの6コースから勝てるわけがないでしょ」と捨てゼリフを吐いた自分が恥ずかしかった。真っ向勝負から逃げようとした弱い心に突き刺さった。

 迷いを断った末に大外から獲得した最高峰のタイトル。平本、篠崎兄弟らSGで活躍する若手で結成した“ニュージェネレーション”のトップに立った。だが、ボート界を支えてきた先達への感謝も忘れない。「偉大な先輩がいるから今の僕がいる。後輩に夢を与えるようなレーサーになりたい」

 賞金トップの座は約700万円差で菊地に譲った。だが、新世代の台頭を確実に印象づけた。「タイトルは頂いた。本当の賞金王は次の目標に」。涙はもう乾いていた。

 ◆茅原 悠紀(かやはら・ゆうき)1987年(昭62)7月11日生まれ。岡山支部所属の27歳。06年11月児島でデビュー。09年12月宮島一般戦で初V。通算72優出で今回が20度目の優勝。12年徳山新鋭王座でG1初V(通算1V)。同期に坂元浩仁、水摩敦らがいる99期。所属する岡山イーグル会は黒明良光、林貢(ともに引退)らを輩出した名門ペラグループ。

 ≪グランプリVTR≫スタート展示の枠なり3対3から一転、本番は太田が3カドを選択。コンマ03の鋭発から攻め立てたが井口が抵抗。この展開に乗じて菊地のまくり差し、ブイ際を茅原が突っ込んだ。内が伸びる平和島の水面、茅原がグイグイ伸びて2M先取り。菊地が猛追する白井を振り切り2着確保。

 ◆GP組次走 優勝した茅原悠紀の次走は1月2日からの児島一般戦。まさに凱旋だ。川崎智幸、吉田拡郎らと優勝を争う。白井英治は1月1日から下関一般戦。柏野幸二、森野正弘らが出場。井口佳典は30日からの津一般戦。東本勝利、新田雄史らが待ち受ける。太田和美は1月27日からの住之江G1太閤賞。田中信一郎、山崎智也、吉川元浩らが出場。菊地孝平は31日からの浜名湖一般戦。服部幸男、徳増秀樹らと覇を競う。石野貴之は1月2日からの住之江一般戦。松井繁、丸岡正典らが出場する。

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