【エ女王杯】セキショウ成熟 長島厩務員ラストG1究極仕上げ

[ 2013年11月7日 06:00 ]

単走で最終追いのセキショウは軽快なフットワーク

 美浦では来月で定年を迎える長島五郎厩務員(64)が担当する3歳馬セキショウが究極の勝負仕上げ。無欲の先行策で波乱を呼ぶか。

【エ女王杯】

 プリンと盛り上がったヒップを誇らしげに揺らしながら調教場に入っていく。人間に例えるならモンロー・ウオークか。誰もが目を奪われた、その美尻の持ち主は3歳馬セキショウだ。

 「お尻が丸くなったな。ちょうど成長期に差しかかっているんだろう」と、杉浦師は満足げに愛馬を見つめた。その直後に行われたポリトラックコースでの最終追いではその言葉通りの成長を感じさせる動きを見せた。単走で軽く流して5F71秒9~1F13秒3。四肢を大きく伸ばしスピード感十分の脚さばき。手綱を取った田面木助手も「時計は速くないけど、しっかりした動き。前走の反動もない」と最上級のジャッジを下した。

 厩舎に戻ると引き揚げてきた馬の横で笑みを浮かべながら担当の長島厩務員が美尻の秘密を語り始めた。

 「実はね、秋華賞(8着)の4週前からカイバを1升増やしたんだ。1日で合計7升。この世界に入って42年になるけど、大きな懸けだった」。カイバの増量は、特に繊細な3歳牝馬にはリスクのある選択だ。それでも「毎日残さず食べている。馬はどこか痛い所があると食べなくなるもの。体調がよっぽどいいんだろう」と同厩務員は確かな手応えを感じている。

 長距離輸送を挟んで臨んだ秋華賞はカイバ増量の効果もあって、その前走・紫苑Sと同じ体重(486キロ)をキープ。結果、勝ち馬と0秒3差の8着に指揮官は早仕掛けを悔やんだ。あれから、さらに4週間。「引き続きよく食べているし、いい状態」と同厩務員はパワーアップを確信。

 ガレオン(93年ダービー4着)、テレグノシス(02年NHKマイルC優勝)などを手掛けた長島厩務員は来月9日で定年。秋華賞では「この年でG1を使えるだけで幸せ」と話したが、今回は正真正銘のラストG1。ベテラン厩務員こん身の仕上げが波乱を巻き起こす。

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