【スプリンターズS】カナロア戦闘モード 鼻歌まじりで11秒9!

[ 2013年9月26日 06:00 ]

スプリンターズSの最終追いで抜群の動きを見せたロードカナロア(右)

 秋のG1シリーズ開幕を告げる「第47回スプリンターズS」(29日、中山)の追い切りが25日、美浦、栗東トレセンで行われた。このレース連覇を狙うロードカナロアは、栗東坂路の併せ馬で楽々と2馬身先着し絶好調をアピール。サクラバクシンオー(93、94年)以来となる連覇、そしてG1・5連勝へ視界良好だ。同レースは26日に出走馬が、27日に枠順が確定する。

【スプリンターズS】

 軽い。でも速い。ロードカナロアの最終追いには王者の余裕が漂っていた。坂路でカレンジェニオ(5歳1600万)の2馬身後方からスタート。前半2Fは13秒9―13秒9。精密機械のようなラップは、この馬の最大の武器である操縦性の証だ。残り2Fで差は1馬身。ここからがカナロアの真骨頂。12秒3まで一気に加速すると、並ぶ間もなくいっぱいに追われたパートナーをかわす。鞍上の手綱はほとんど動かない。最後は流す余裕を見せながらラスト1F11秒9で2馬身先着した。

 この日、栗東坂路を登坂した延べ1145頭中、ラスト1Fで11秒台をマークしたのは7頭だけ。他馬はいっぱいに追われ“叩き出した”時計だが、カナロアは鼻歌交じり。格の違いを見せつける走りに安田師も満足の表情だ。「きょうは馬の走る気持ちを確認する程度。切れのある動きだった。残り1Fで鞍上がステッキを持ち替えただけでグッと加速した。もう戦闘モードに入っている。ひと叩きした効果がはっきり出ている」

 前哨戦のセントウルSは逃げたハクサンムーンを捉え切れず2着。同じ臨戦過程ながら「夏負けがあった昨年よりも状態がいい」と感じていた陣営にとって、まさかの敗戦だった。「夏場のブランクを挟んで、調教だけで仕上げていくのは難しい。今年はうまくいった。そう思っていたが、やはり休み明けの影響が残った」。安田師は冷静に敗因を振り返った上で上積みを強調。「昨年もセントウルSを使って馬がガラッと変わった。今年も同じ。昨年と甲乙つけがたいが、むしろ今年の方が状態は上」と確信する。

 前哨戦こそ敗れはしたが、G1は出走機会4連勝中。王者の称号が揺らいだわけではない。「競馬はみんなが勝とうと思って乗っている。だから思わぬ落とし穴が存在する。そこをうまくクリアしなければ勝てない」

 ジョッキーとして数々の修羅場をくぐり抜けてきた安田師は、大一番へ気を引き締めながらも「王者としてライバルを蹴散らす走りを見たい」と締めくくった。年内引退が決定している現役最強スプリンター。ラストランまで王者の威厳を誇示し続ける。

続きを表示

2013年9月26日のニュース