【宝塚記念】池江敏行助手“ディープは全ホースマンの理想”

[ 2013年6月21日 06:00 ]

06年宝塚記念を圧勝のディープインパクト(中央)

 今回の“3強”の父、または母の父として注目されるステイゴールド、メジロマックイーン、ディープインパクト。3頭はいずれも現役時、池江泰郎厩舎(解散)に所属したが、その調教役を任されていたのが池江氏のおい、池江敏行助手(51=高野)だった。

 メジロマックイーンが勝った93年は「天皇賞・春(2着)から距離短縮を不安視する声があって、こっちも心配になった」と言いながらも結果は完勝。ステイゴールドの思い出は「とにかく、うるさかった。半端じゃなかった。仕事に向かうのが嫌になるくらい(笑い)」。苦労の日々を懐かしそうに振り返った。

 もちろん、ディープインパクトも特別な存在だ。「能力がずばぬけていた。調教もレースも、全てにおいて理想のサラブレッドに近かった。今、思えば当時はみんな、あんな馬をつくりたかったんじゃないかな」

 4歳になった06年春。阪神大賞典、天皇賞・春を連勝して宝塚記念に臨んだディープインパクトは3戦連続で単勝1・1倍、断然の1番人気。絶好の仕上がりでレース当日を迎えた。ただ、気になる材料が一つあった。「雨が心配だった。馬場がかなり悪かった」。「芝やや重」の発表以上に悪コンディションに見えた。だが、心配は無用だった。4馬身差の圧勝で秋のフランス遠征に弾みをつけた。

 引退後は種牡馬として次の世代にしっかり血を残しているディープ。その代表産駒とも言えるジェンティルドンナを筆頭にダノンバラード、トーセンラーの3頭が父子制覇の期待を背負ってグランプリの舞台に立つ。「現役で結果を出しても種牡馬として成功するのは簡単じゃない。なのに2年連続でダービー馬を出すのだから本当に凄い。今振り返っても素晴らしい馬だったと思うし、そういう馬に関われたことは幸せだった」

 ディープ産駒とステイゴールド産駒の激突で盛り上がる頂上決戦。「ファンの皆さんと同様に僕も凄く楽しみ」。池江助手は目をグッと細めて笑った。

 ◆池江 敏行(いけえ・としゆき)1962年(昭37)6月18日、大分県生まれの51歳。叔父の池江泰郎師(引退=本紙評論家)の下で調教助手を務め、多くの名馬の調教を担当。ディープインパクトに我慢を覚えさせるため、3歳夏の札幌滞在で猛特訓を施したのは今も語りぐさ。一昨年2月末の厩舎解散後は高野厩舎へ。調教助手36年目。

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2013年6月21日のニュース