【天皇賞・春】フェノーメノ 打倒ゴールド!3度目の変身で頂点へ

[ 2013年4月25日 06:00 ]

馬なりで追い切ったフェノーメノは、気性面での成長を見せつける

 ゴールドシップ打倒の決め手は成長力だ。「天皇賞・春」の追い切りで目を引いたのが、美浦のフェノーメノ。不気味なほど落ち着き払ったフットワークで、しっかりと駆け抜けた。昨年秋よりも制御が利いた走りで、3200メートルの長距離戦にも万全の備え。気性の成長が無冠の大器を古馬の頂点へと押し上げる。

【天皇賞・春】

 一流の競走馬は3度変わるという。3歳春に一皮むけ、3歳秋にもうひと回り成長。そして古馬となって…。その3度目の変化がフェノーメノの追い切りに表れていた。

 非の打ちどころがない折り合い。周囲の蹄音に耳をそばだてるほどの余裕。威風堂々とWコースを躍動する。3歳秋まで見せていた力みが消え、雄大なストライドを伸ばし続けた。単走で馬なりのまま6F84秒7、ラスト1F13秒2。時計は遅いが、完成された競走馬の凄みが伝わってきた。

 「上積みはある。ただし、休み明けの日経賞をひと叩きした上積みではなく、成長による上積み」。戸田師は満足そうな表情で口火を切った。「行きたがる面が解消されたのが一番。3歳時は追い切るとピリピリしていたのに今は穏やかで、気持ちに余裕がある」。精神面の変化を強調した上でこう続けた。「(490キロ台の)体重は同じでもバランスが取れた体形に変わってきた」

 昨年のジャパンC5着後、G1を獲りたい気持ちを押し殺して有馬記念を自重。古馬になってからの飛躍に懸けて放牧に出した。日経賞まで4カ月の休養が心身の成長を促した。「同じ休み明けでも、日経賞はセントライト記念のように抜け出してから後続に詰め寄られず、最後まで余裕があった。あの走りなら3200メートルでも大丈夫」。成長がレース結果に出たことで指揮官は手応えを膨らませた。

 ゴールドシップとは先着した昨年のダービー(2着)以来の直接対決。「強敵だが成長力を生かしたい。関西馬に負けたくない」。追い出してからモタつく鈍さを解消したのは昨年のダービー前。昨秋の天皇賞前にはトモ(後肢)の緩さも克服した。そして3度目の成長。念願のタイトルが視野に入った。

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2013年4月25日のニュース