【高松宮記念】ロードカナロア完璧 陣営「過去最高の出来」

[ 2013年3月21日 06:00 ]

ロードカナロアは坂路馬なりで最終追い。僚馬を軽く突き放し、短距離G1・3連覇へ抜かりなし

 史上初のスプリントG1・3連覇も単なる通過点だ。春の短距離王決定戦「第43回高松宮記念」の追い切りが20日、栗東、美浦トレセンで行われた。昨年の最優秀短距離馬ロードカナロアは、坂路で貫禄の走りを披露。陣営は「過去最高の出来」と断言。スプリンターズS、香港スプリントに続くG1・3勝目に向け、死角はない。

【高松宮記念】

 ロードカナロアに騎乗した安田翔助手の手はピクリとも動かなかった。最終追い切りのパートナーを務めた7歳オーセロワもオープン馬だが、完全に子供扱い。びっしり追われて食らい付こうとする僚馬を1馬身半置き去りにし、4F53秒7を叩き出した。

 この日の坂路で7番目の好タイム。ラスト400メートルから1F12秒5、12秒9と12秒台を並べたのはトップ10内でこの馬だけ。しかも馬なりのまま。レベルの違いを見せつけた。見届けた安田師の表情は、自信に満ちていた。「負荷を掛けるため追いかけて併せた。55秒程度の指示。時計は速くなったが、最後は流していたし十分。見るからに完璧。これまでで一番の出来」

 昨秋はスプリンターズS、香港スプリントとG1連勝。始動戦の阪急杯も他を寄せ付けず快勝。もはや敵なしという強さを誇るが、昨年のこのレースは3着に敗れた。師は「当時は5連勝中だったがG1は初めて。甘くなかった」と振り返る。

 あれから1年。カナロアは期待通り成長した。「体がしっかり。走るのに必要な筋肉が付いた。これなら胸を張っていける」(同師)。馬体だけではない。前走の返し馬。トレーナーは愛馬の姿に驚いた。「非常に落ち着いていた。見ていて、凄い馬だなと思った」

 もはや日本に敵はいない。ここは再び世界に羽ばたくための通過点。「いい勝ち方をしてほしい。もう、日本のカナロアではなく、世界のカナロアだから」と師は表現。さらに現在の完成度を問われた指揮官は「9割」と答えた。まだ強くなる余地があるのか。

 香港で世界を制したカナロアだが、世界には他にも強力なスプリンターがいる。無敗23連勝中、オーストラリアのブラックキャビア。シンガポールG1、クリスフライヤー国際スプリント(5月19日)はカナロアの不出走が決まったが、いつか、この世界2強の激突が見たい。安田師は「今後のことはレースが終わってから」。まずはここに全力投球だ。世界中が期待する夢のバトル実現まで、連勝街道を突き進む。

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