【有馬記念１週前追い】２冠馬ゴールド　沈黙は金なり

ゴールドシップ（右）は併せ馬で１馬身遅れる

　有馬記念の１週前追いが栗東、美浦トレセンで行われ、皐月賞、菊花賞の２冠馬ゴールドシップ（牡＝須貝）が坂路で躍動した。

　モニターを注視していた報道陣から、どよめきが起こった。グランプリの主役と目される２冠馬が、アスカトップレディ（愛知杯出走）にあっさり１馬身遅れた。急いで須貝師のもとへと駆けつける。だが、指揮官はどこ吹く風。冷静にこう語った。「もともと坂で動くタイプじゃない。それにアスカの具合がとにかくいい。ああなる（遅れる）ことは予想していた。イメージ通りの調整はできた」

　確かに時計、動きを見れば悲観する必要はない。２馬身後方からスタート。ラスト２Ｆで１馬身差へと迫り、そこから詰め切れなかったが、４Ｆ５２秒８～１３秒１は時計の掛かる馬場状態を考えれば十分に合格点だ。

　「思い切りやれる状態にあったし、やりたかった。長く追うよう指示を出したし、その通りにできた。これで戦闘モードに入る。上がりの息遣いも悪くなかったし、胸前の筋肉も凄くパワーアップしている」。指揮官の言葉は弾んでいた。

　今回が古馬との初対決だが、ジャパンＣの上位２頭が回避し、例年ほどの強力メンバーではない。舞台は完勝した皐月賞と同じ中山。主役級の１頭だが、大一番への手応えに質問が及ぶと、師の表情は引き締まった。「皐月賞は３歳同士で、雨も降っていた。参考にはならない。たとえ人気でも、あくまで挑戦者の立場」。慢心せず、油断せず。今やれることを丹念に消化して、古馬制圧に挑む。