【天皇賞・秋】今週も須貝師&ウチパク ジャスタウェイで連続G1だ

[ 2012年10月24日 06:00 ]

毎日王冠2着から盾獲りに挑むジャスタウェイ

 飛ぶ鳥を落とす勢いだ。「第146回天皇賞・秋」(28日)に3歳馬ジャスタウェイを送り込む須貝尚介師(46)は、先週の菊花賞(ゴールドシップ)で史上最速100勝を達成。人懐こい性格、攻めの競走馬管理で、好成績を積み上げてきた。今週は伏兵扱いだが、先週と同じ内田博幸騎手(42)とのコンビで2週連続G1制覇を狙う。サダムパテックは、相性の良さを買って、あえて休み明けで参戦。昨春の皐月賞でオルフェーヴルの2着に惜敗した舞台で、悲願の頂点をつかみにいく。

【天皇賞・秋】

 火曜朝、栗東トレセンの通称「坂路小屋」は、お祝いムードに包まれた。陣取る調教師の中で末弟的存在の須貝師が菊花賞を制したからだ。かつて、同様に菊を勝った橋口師が「ゴールドシップは、ここにいるみんなの馬。ここの小屋の馬だ」と連帯感を強調する。横の音無師も笑顔だ。両御大に祝福され、須貝師は恐縮するしかない。「今週のジャスタウェイも走りそうだな」と声が飛ぶ。いい光景だった。

 菊花賞Vは同時に、デビューから史上最速の通算100勝でもあった。須貝厩舎の馬は、なぜこんなにも走るのか。冒頭の風景が一つのヒントだ。須貝師は、とにかく年上に気に入られる。天性の愛されキャラだ。09年の厩舎開業直後、坂路小屋に席を確保するに当たって、師は橋口、音無師らに座布団を配った。「気が利くなあ。まあ、仲良くやろうや」。ベテラン調教師の中に、首尾よく飛び込むことができた。気が利いて、人懐こく、失敗談を披露して周囲を和ます。当然、馬主への受けも抜群だ。この、馬主減少時代にあって、個人馬主の心をがっちりとつかみ、上質の馬を入厩させている。その代表格がゴールドシップであり、ジャスタウェイだ。

 もちろん、指揮官のハートだけで馬は走らない。新たな試みにもチャレンジした。昨年5月、厩舎内の敷地を半分、芝で覆った。「表面温度を下げられ、エコになる。馬もリラックスできる。メンテナンスは大変だが、芝の勉強にもなる」。馬の脚元にも優しく、砂ぼこりが舞わないから馬の気管にもいいはずだ。

 開業した09年から年間10勝→25勝→29勝と勝ち星を積み上げた。今年は目下36勝で、全国7位まで躍進。この勢いで3歳馬ジャスタウェイにも盾奪取の期待が集まる。手綱を取るのはゴールドシップと同じ内田。「彼からオファーがあった。何かの縁かもしれない。乗りやすい馬だし、テン乗り(初騎乗)でも大丈夫。菊花賞だけの単発で終わらないように頑張る」。人間的魅力にあふれた新進気鋭の指揮官。今週もきっと好勝負を繰り広げる。 

 ≪名トレーナーに肩並べる≫09年3月の開業以来、須貝師がマークした3年7カ月21日での100勝到達は史上最速。従来の矢作師の記録を1カ月近く更新した。100勝スピード到達は3位が森師。4位以降は参考記録だが池江泰寿師(3年10カ月7日)、松田国師(3年11カ月14日)と、ダービートレーナーの名が並ぶ。クラシック2冠を達成した須貝師も肩を並べたと言っていい。

 ≪好調ハーツクライ産駒≫先週はジャスタウェイと同じハーツクライ産駒が絶好調。土曜は京都の準オープン・古都Sをアドマイヤラクティが快勝。日曜は東京でレッドセシリアが新馬勝ちしたのをはじめ、京都・北野特別をカポーティスターが勝つなど新潟、東京、京都で各2勝ずつの計6勝と大暴れ。血統の勢いも好走を後押しする。

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