【菊花賞】イコピコ頂点へ!持ち前の切れ味披露

[ 2009年10月22日 06:00 ]

坂路馬場のど真ん中を、一直線に駆け上がるイコピコ

 栗東では神戸新聞杯Vで一躍急浮上したイコピコが快走。01年優勝馬マンハッタンカフェとの父子制覇へ大きく前進した。

 実直で、大言壮語を好まない西園師が言い切った。「自信はあります」。神戸新聞杯をレコードで制した超新星は、イコピコ(ハワイ語で「頂上」)の馬名そのままに、頂点へと駆け上がろうとしている。
 酒井(レースでは四位)を背にした坂路追いは、ため息が出るような素晴らしさだった。単走、序盤は馬の気に任せた。四肢がしっかりと伸び、軽快に回転する。残り200メートルで追い出すと、グッと姿勢が低くなった。とどめの左ムチが飛ぶと、もうひと伸び。ラスト1F12秒4と持ち前の切れを存分に披露した。4F52秒1は自己新。「100点満点」。指揮官は目を細めた。
 「頂点に一番近いところにいる」。自信を隠さない理由は、12年前の経験があるからだ。開業前の技術調教師だった西園師は、マチカネフクキタルの調教を一手に引き受けた。神戸新聞杯、京都新聞杯と前哨戦を連勝。菊の1週前には疲労がピークに達し、馬場入りを見送るピンチもあったが、何とか乗り切って菊をつかんだ。
 「3つ獲りにいって、本当に獲った。目標に向けて馬が吸い込まれていく感じ。大きな自信になった」。血統的には長距離不向きとされた馬で勝ったことも大きかった。「菊は折り合いさえつけば距離は何とかなる」。マイル色が強い母系のイコピコでも、全幅の信頼を崩さない理由は、ここにある。「3000メートルは人間との話し合いが重要。この馬はそれができる。オンとオフがはっきりしているし、追い切り後は自分で体をつくる。本当に優等生」。指揮官の信頼は揺るぎない。
 秋華賞に続くVを目指す四位は「前走同様、馬とのリズムを大事にして乗りたい」と話した。「四位の感性は天才的。彼が起こす風に乗っていきたい」という西園師。人馬の勢いで菊の大輪をつかまえにいく。

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2009年10月22日のニュース