「ばけばけ」泣き笑いを生む作劇が話題 脚本家ふじきみつ彦氏とは?“あのあの話”何も起きない物語の魅力

[ 2025年11月17日 08:16 ]

NHK連続テレビ小説「ばけばけ」で朝ドラ初挑戦の脚本家・ふじきみつ彦氏。泣き笑いを誘う会話劇が反響を呼ぶ
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 女優の髙石あかり(22)がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説「ばけばけ」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)は放送開始から約2カ月。派手さはなくとも、心に染み入る泣き笑いを誘う作劇が好評を博し、反響を呼んでいる。オリジナル脚本を手掛けるのは、ふじきみつ彦氏(50)。日常描写や会話劇に定評があり、満を持しての朝ドラ初挑戦となった。クスッと笑える、ふじき脚本の魅力に迫る。

 <※以下、ネタバレ有>

 朝ドラ通算113作目。松江の没落士族の娘・小泉セツと、その夫で日本の怪談を世界に紹介した明治時代の作家・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)をモデルに、怪談を愛してやまない夫婦の何気ない日常を描く。

 ふじき氏は広告代理店勤務を経て、30歳の時に作家活動を開始。日本の不条理演劇を確立した第一人者・別役実氏に師事。コント・小劇場からテレビドラマ・映画と、多彩な作品を生み続けている。Eテレ「みいつけた!」などの教育番組においては、キャラクター作りから携わる。

 大竹まこと・きたろう・斉木しげるによるコントユニット「シティボーイズ」やムロツヨシ主宰「muro式」など、舞台脚本で頭角を現し、2017年1月期にスタートした、名脇役6人が本人役を演じるテレビ東京「バイプレイヤーズ」シリーズのメーンライターに抜てき。第1シリーズ初回の名台詞「テレ東だろ?」を編み出したのも、ふじき氏だ。

 脚本を手掛けた21年のNHKよるドラ「阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし」(全7回)が第30回橋田賞に輝き、受賞理由は「芸人として活動する阿佐ヶ谷姉妹の何気ない日常を描いたホームドラマ。人とのつながりや温かさの大切さを押し付けることなく届けることができた。長く続くコロナ禍の中、たくさんの視聴者を励まし、癒し、温かさで包み込んだ」だった。

 昨年6月の制作発表時、ふじき氏は「何も起きない物語を書いています」「取り立てて人に話すほどでもない他愛もない時間。そんな光でも影でもない部分に光を当てる朝ドラを書いてみたい」とコメント。「バイプレイヤーズ」第2シリーズ時(18年2~3月)で大杉漣さんが急逝する前にインタビューしたが、当時から「何も起こらない物語」を掲げていた。

 「(第2シリーズ第2話で)松重(豊)さんが寝られないというだけで、どこまで行けるかチャレンジしたんですが、もっとドラマチックなことが起きない話が書けたらいいなと思います。例えば、瓶のフタが開かないとか。瓶のフタを延々と開けようとしているだけでも、あの名脇役の皆さんで、おもしろい脚本が書ければ、きちんとドラマとして成り立つんじゃないかと。名脇役の皆さんは揃っただけで面白いので、あまりゴテゴテ足すと、面白くなくなる。なるべく引き算で考えてみたいと思うんです」

 朝ドラに舞台を移しても、笑いのテイストは不変。第8回(10月8日)、松野トキ(髙石あかり)のお見合いが破談になった後の台詞「あのあの話」の応酬が、ふじき流のコメディーの一端。第36回(11月17日)はトキがレフカダ・ヘブン(トミー・バストウ)に頼まれたビールが何のことか分からない“ビア(ビール)探し”。いよいよ何も起きないストーリーが本格化し始めた。

 「これから、トキとヘブンが一緒になるまでをじっくり書いています。トキにとっては、全く初めて見る異国の人。価値観の違いよりももっと手前の、本当に何も知らないところからの始まりでした。ヘブンも全然知らない土地である日本に初めて来て、怖かったと思います。そんな2人が全然自分とは違うことをどう受け入れていくか。八雲も『オープンマインド』と言っていますが、心を開いて、何とか分かろうとして、お互いに歩み寄っていきます。今後も『ばけばけ』というタイトル通り、色んなことが“化けて”いきます。恨めしいことだったり、悲しいことだったり、それがちょっとずつ素晴らしいものに変わっていくのを見ていただけたらうれしいです。そして、何も起こらない週が来た時に『あ、何も起こらないのに面白いな』と思ってもらえたら、それが一番うれしいです」

 秀逸なキャッチコピー「この世はうらめしい。けど、すばらしい。」を付けたのも、ふじき氏。今後の展開、その真骨頂発揮が一層、注目される。

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