「あんぱん」ついにアンパンマン誕生!120話目で初回冒頭に戻る劇的展開に反響 北村匠海ら語る裏側
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女優の今田美桜(28)がヒロイン、俳優の北村匠海(27)が夫役を務めるNHK連続テレビ小説「あんぱん」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)は12日、第120回が放送され、皆が知る、顔があんぱんのヒーロー「アンパンマン」がついに誕生した。初回(3月31日)の冒頭シーンに“戻る”劇的な作劇と演出。SNS上には「ついにアンパンマン爆誕」「初回につながった」などの声が続出、大反響を呼んだ。北村と今田、脚本の中園ミホ氏(66)に舞台裏を聞いた。
<※以下、ネタバレ有>
「ドクターX~外科医・大門未知子~」シリーズなどのヒット作を放ち続ける中園氏がオリジナル脚本を手掛ける朝ドラ通算112作目。国民的アニメ「アンパンマン」を生み出した漫画家・やなせたかし氏と妻・暢さんをモデルに、戦争に翻弄されながら激動の時代を生き抜き、「逆転しない正義」にたどり着く柳井夫妻、のぶと嵩の軌跡を描く。
第120回は、東海林明(津田健次郎)との26年ぶりの再会から程なく、かつての同僚・岩清水信司(倉悠貴)と結婚した岩清水琴子(鳴海唯)から速達の封書が届く。そこには、東海林が上京した本当の理由が書かれていた。柳井のぶと柳井嵩は言葉を失う。その夜、嵩は机に向かうと、何かに突き動かされるように…という展開。
「4月20日、東海林明さんが亡くなられました」
東海林は2人に確かめたいことがあると、医師の制止を振り切り、入院中の病院を抜け出して上京していた。のぶは「こんなことって…」、嵩は「命を削って、会いに来てくれたんだな…」と絶句した。
嵩は全神経を集中。ケント紙の上を縦横無尽に鉛筆が動く。
夜が明ける。仕事部屋に入ってきたのぶはカーテンを開け「嵩さん、おはよう、朝だよ」。嵩は「できた…」――。
“おじさんアンパンマン”(あんぱんを配る太ったおじさん)には「何かが足りない」と悪戦苦闘していたが、完成したのは皆が知る、顔があんぱんの「アンパンマン」――。
のぶ「顔があんぱん…」
嵩「そうなんだ」
のぶ「こんなヒーロー、初めて見た。そっか、自分の顔を食べさせるがやね」
嵩「アンパンマンは、おなかをすかせて困ってる人に、自分の顔を食べさせて、ボロボロのマントを翻し、夕暮れの空を飛ぶんだ。たとえ…自分の命が終わっても。大丈夫、アンパンマンの命は終わらない。続くんだ」
のぶ「パン作りのおんちゃんが、新しい顔」
嵩「そう。ダメかな?」
のぶ「そんなことない…。そんなことない…。うち、こういうヒーロー、ずっと待ちよった気がする」
1973年(昭和48年)10月、嵩が新たに生み出した「あんぱんまん」(当初は平仮名表記)は子ども向けの月刊絵本として刊行。幼稚園や図書館に置かれた。
台本のト書きには「第1話のファーストシーンのイメージ」。初回アバンの“完コピ”にはなっていないものの、嵩が徹夜して「アンパンマン」を描いているという状況、カーテンを開けるのぶの台詞「嵩さん、おはよう、朝だよ」は同じ。120話目にして“初回冒頭に戻る”ドラマチックな展開となった。
北村が老けメークを施して初回の冒頭シーンを撮影したのは、昨年9月のクランクインから程なくして。まだ嵩役を演じ始めたばかりで「先々の展開も分からないので、ある種、やなせさんを模倣するお芝居になりました。あの時は、そうするしか答えが見つからなくて。そこからようやく第120回にたどり着いて、あらためて完成したアンパンマンの絵を目にした時、初回とは違う感覚になりました」と切り出した。
「それはなぜかと考えた時、僕は“やなせたかし”ではなく、1年間“柳井嵩”を生きたからだと思います。第120回でアンパンマンを描き上げた時、ここに至るまでの苦しさや、今まで出会ってきた人たちの顔がよみがえりました。その中でも、のぶちゃんのことを一番に感じることができたのが大きかったですね。やなせさんと暢さんが過ごされた時間より、幼少期に出会っている嵩とのぶの方が長い月日を共にしていると思います。その分、2人が歩んできた日々や軌跡が、よりアンパンマンに凝縮されていて。嵩がアンパンマンを生み出すことができたのは全員のおかげですけど、最後にのぶちゃんが手を引っ張ってくれた。これは柳井嵩オリジナルの感情かもしれません」
初回の方が「老けメークが濃かったですね(笑)」とし「同じようなシチュエーションを演じるといっても、顔の角度なんかも違いますから、初回と全く同じシーンにはなっていません」と説明。「先ほど、初回とは違う感覚とお伝えしましたけど、もっと細かく言うと、根っこは同じといいますか。やなせさんは、この『あんぱん』という作品全体を包み込んでいる象徴的な存在。やなせさんという根っこから、柳井嵩という違う草花が育ったのかなというニュアンスです」と表現した。
今田も「私も初回とは感じ方が違いました。あの時は、ここまでのストーリーを知らずに演じましたし、そこからのぶの人生を生きてきたので。(顔があんぱんの)アンパンマンの絵を見た瞬間に、のぶの身に起こった出来事や今までの撮影のことが思い起こされました」と振り返った。
中園氏が脚本を担当した2014年度前期「花子とアン」の初回冒頭も、主人公・村岡花子(吉高由里子)が「赤毛のアン」を翻訳しているシーンから始まる。
「曲がり角を曲がった先に、何があるのかは、分からないの」
「あんぱん」も同じ構成になった狙いについて、中園氏は「最初に一番大事なテーマを提示する、という私の癖ですね。書いているうちに話が横道にそれることがあるのを自覚しているので、最終的にはそこに戻る物語なんだということを自分に言い聞かせるためでもあり、視聴者の皆さんにも初回で分かっておいていただくためでもあります」と明かした。
「あんぱん」の幕開けは、嵩のモノローグだった。
「正義は逆転する。信じられないことだけど、正義は簡単にひっくり返ってしまうことがある。じゃあ、決してひっくり返らない正義って何だろう。おなかをすかせて困っている人がいたら、一切れのパンを届けてあげることだ」
中園氏は企画書に寄稿した自身の想いの1行目も「正義は逆転する」というフレーズから書き始め、構想を練った。今作最初の台詞にもなったが「そこは一度もブレなかったですね」。戦争を描く覚悟を込めた。
「花子とアン」で「赤毛のアン」の翻訳が完成したのも最終盤で、「あんぱん」は120話目となったが、制作統括の倉崎憲チーフ・プロデューサーは「当初作った全体プロットのだいたい予定通りです」とストーリーの展開具合を説明。最終回まで残り2週となり「ついにここまで来たか、という感慨深さはありました」と述懐した。
終戦から28年、のぶと嵩がようやく見つけた「逆転しない正義」。第25週(9月15~19日)はミュージカル「怪傑アンパンマン」誕生が描かれる。
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