「あんぱん」のぶ茫然“空襲&焼け野原”最新VFX「VP」朝ドラ初導入CP狙い 戦争パート映像面も挑戦

[ 2025年6月20日 08:15 ]

連続テレビ小説「あんぱん」第60話。若松のぶ(今田美桜)は焼け野原に立ち尽くし…高知空襲の映像表現はデジタル撮影技術「バーチャルプロダクション」を朝ドラ初導入(C)NHK
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 女優の今田美桜(28)がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説「あんぱん」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)は20日、第60回が放送され、2週にわたった本格的な「戦争パート」が完結した。この日の高知空襲は、デジタル撮影技術「バーチャルプロダクション(VP)」を用いて表現。朝ドラにVPが導入されたのは、今回が初となった。制作統括の倉崎憲チーフ・プロデューサー(CP)に狙いを聞いた。

 <※以下、ネタバレ有>

 「ドクターX~外科医・大門未知子~」シリーズなどのヒット作を放ち続ける中園ミホ氏がオリジナル脚本を手掛ける朝ドラ通算112作目。国民的アニメ「アンパンマン」を生み出した漫画家・やなせたかし氏と妻・暢さんをモデルに、激動の時代を生き抜いた夫婦を描く。

 第60話は、若松次郎(中島歩)から便りが届くが、それは海軍病院からだった。若松のぶ(今田美桜)が不安な気持ちで病室に入ると、笑顔でベッドに座る次郎の姿があった。戦況は一層厳しくなり、1945(昭和20年)7月4日、高知の町に空襲警報が鳴り響く。行き交う人々の中に飛び出したのぶは、遠くから子どもの泣き声が聞こえると、皆が逃げるのとは逆方向へと走り始め…という展開。

 「バーチャルプロダクション」とは、最新のVFX(ビジュアルエフェクツ~視覚効果)技術。屋外風景などのCG映像を映し出した「巨大LEDウォール」をスタジオセットの背景に置き、あらかじめデジタル空間で作成した背景となる映像を投影し、その手前で演技するキャストと同時に撮る手法。いわば、リアルとデジタルの空間をリアルタイムで融合する技術だ。スタジオにいながら、実際その場所にいるような臨場感、リアリティーあふれる映像を創出。そのクオリティーは「グリーンバック」を用いた「クロマキー合成」と全く異なる。

 NHKにおいては、23年の大河ドラマ「どうする家康」で本格導入。合戦シーンでロケを実施しない異例&異色の「関ヶ原の戦い」などが話題を呼んだ。

 「正義は逆転する。信じられないことだけど、正義は簡単にひっくり返ってしまうことがある。じゃあ、決してひっくり返らない正義って何だろう。おなかをすかせて困っている人がいたら、一切れのパンを届けてあげることだ」

 初回(3月31日)冒頭に登場した名言の通り、「アンパンマン」誕生の軌跡を紡ぐ今作において、やなせ氏の戦争体験は避けて通れない。しかも、今年は戦後80年の節目の年。倉崎氏も当初から「戦争というものに今まで以上に真摯に向き合い、丹念に描きます」と宣言していたが、映像面でも朝ドラとして新たな試みに挑んだ。

 VP導入のメリットは主に「映像表現」「コスト」「労働環境」の3つ。海外の配信作品などで目の肥えた視聴者も惹きつける映像と、天候待ちや酷暑などロケのリスク回避によるコストダウンや働き方改革の“一挙三得”が可能になる。

 今回は高知空襲や焼け野原のシーンでVPを使用。倉崎氏は「セットを組むコストだけでなく、『時間』も削減できます。また、戦争はNHKが長年向き合い続けているテーマで、汎用性のあるデジタル素材を作れば、今後の資産にもなります。今回、空襲に遭った焦土の光景ならリアルな美術セットとデジタル空間を違和感なく融合できるとチーム全体で判断しました」と意図を説明。

 「実際にこのVP収録を牽引した各部スタッフには『どうする家康』にも入っていた者も複数います。そのような意味でも、『どうする家康』でVP撮影に挑戦した経験を生かし、今回のVP撮影が実現したといっても過言ではありません」と「どうする家康」のノウハウが生かされたことも明かした。

 「VP収録の利点は、キャストや現場スタッフのモチベーションも高められる、臨場感ある撮影現場という点もあります。今回、キャスト陣からは『映像とセットの境目が分からない。とてもやりやすかった』と驚きの声がありました。グリーンバック撮影の場合は周りの光景を想像しながら芝居をするしかなく、人によって想像のズレが生じます。しかし、VPならキャストも各部スタッフも同じ光景を見ながら挑めるので、芝居にも撮影にも集中しやすいという声も多く頂きました。視聴者の皆さんには、このシーンはどこでロケしたのだろうとリアルに感じていただけるとうれしいです」

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