朝ドラ、子供時代をロング展開 狙いは? ヒロイン登場せず…「あんぱん」制作統括に聞いた「深い理由」

[ 2025年4月11日 09:15 ]

連続テレビ小説「あんぱん」第2話。銀座でパンを食べる(左から)柳井登美子(松嶋菜々子)柳井千尋(平山正剛)柳井清(二宮和也)柳井嵩(木村優来)(C)NHK
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 NHK連続テレビ小説「あんぱん」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)は、第2週までの放送を終えた。アンパンマン生みの親・やなせたかしさんと妻・暢さんをモデルとした物語だが、これまで初回冒頭以降、ヒロインの今田美桜(28)や夫役の北村匠海(27)は登場せず、2人の幼少期がじっくりと描かれている。主演がなかなか登場しない“異例”の展開となった意図は?作品を手掛ける倉崎憲チーフ・プロデューサーに取材し、背景を探った。(中村 綾佳)

 同作は2023年度後期「ブギウギ」以来3作ぶりの幼少期スタートとなった。物語はヒロイン・朝田のぶ(今田)と柳井嵩(北村)夫婦の子供時代、1927年(昭和2年)から幕を開けた。

 朝ドラでは主人公の成長を描くために幼少期から始まる手法は恒例化しているが、今回「あんぱん」では驚くほどじっくり丁寧に描かれている。どんな思いが込められているのか。

 倉崎氏は「やなせさんの物語を描くにあたり『アンパンマン』誕生までの軌跡を伝えるためには絶対に幼少期は欠かせないと思ったんです」と語る。実は、史実ではやなせさんが妻・暢さんと初めて出会うのは27歳のとき。戦後に就職した高知新聞社の同僚として出会うため、ここまで放送された2人の幼少期の物語は完全オリジナルだ。

 だが描かれている嵩の姿は、やなせさんの自伝などに基づいている。父を亡くし、母とともに東京から高知へ。伯父の家に身を寄せ、実の弟・千尋と再会…母が再婚のため去っていく姿や嵩が千尋に向けるまなざしは、やなせさんの実体験そのものだ。

 倉崎氏は「やなせさんは、弟へのコンプレックスのような感情も含めて特別な想いを幼少期からずっと抱えていたと自伝で明かしています。この原体験も、後にやなせさんが生み出していく詩や『アンパンマン』誕生にもつながっていると思うんです。なので幼少期は絶対に描かないといけないと、脚本の中園ミホさんとの共通認識として持っていました」と意図を明かした。

 ではなぜ、やなせさんではなく妻・暢さんをモデルとしたのぶを主人公に据えたのか。

 「私は、やなせさんが生み出した数々の言葉や詩に救われてきました。でも、やなせさんのことを知れば知るほど『漫画家・やなせたかし』あるいは『アンパンマン』は、暢さんがいないと生まれていなかったのではないかと思うんです。暢さんがいたからこそ、やなせさんはアンパンマンを生み出すことができたのではないかと、夫婦の物語にしようと思いました」

 そこで中園さんと打ち合わせを重ねた結果、幼なじみというオリジナルの設定が生まれた。「暢さんに関しては資料が非常に少ないので、視聴者の方にも違和感なく物語を楽しんでいただけると思いました。お互いの幼少期を描くことで、のちのアンパンマンの礎をきちんと伝えられると確信しました」と自信を持って世に送り出した。

 制作陣の思いを受け、のぶの幼少期を子役の永瀬ゆずな(9)が、嵩の幼少期を木村優来(ゆら、8)が見事に表現した。倉崎氏は「永瀬さんは子役ではありますが、既に多くのドラマや映画への出演を経験されているので、芝居がとにかく達者。木村さんはまだ小学生なのに、哀愁や切なさを帯びた佇まいに惹かれました」と子役の表現力に目を細める。

 次週、いよいよヒロインが登場する。これからどんなドラマが生まれていくのか、ますます目が離せない。

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