「どうする家康」異色の合戦ロケなし&全編VFX関ヶ原「働き方、作り方、戦国の景色を変える」狙いと裏側
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嵐の松本潤(40)が主演を務めるNHK大河ドラマ「どうする家康」(日曜後8・00)は12日、第43回の放送。ついにクライマックスの「関ヶ原の戦い」(慶長5年、1600年)を迎える。大河で天下分け目の大戦が描かれるのは16作目だが、今回は合戦シーンでロケを実施しない“異例&異色の関ヶ原”。大河史上初の本格導入となったデジタル撮影技術「バーチャルプロダクション(VP)」を駆使し、全編を描き切った。演出統括&VP統括の加藤拓監督にVP導入の狙い、メリットや効果、制作の舞台裏などを聞いた。
<※以下、ネタバレ有>
「リーガル・ハイ」「コンフィデンスマンJP」シリーズなどの古沢良太氏がオリジナル脚本を手掛ける大河ドラマ62作目。弱小国・三河の主は、いかにして戦国の世を生き抜き、天下統一を成し遂げたのか。江戸幕府初代将軍を単独主役にした大河は1983年「徳川家康」以来、実に40年ぶり。令和版にアップデートした新たな家康像を描く。古沢氏は大河脚本初挑戦。松本は大河初主演となった。
第43回は「関ヶ原の戦い」。徳川秀忠(森崎ウィン)率いる主力軍が来ない。真田の罠にハマってしまったのだ。圧倒的に数的不利に陥った東軍・徳川家康(松本潤)は野戦勝負を決断。決戦の地に関ヶ原を選ぶ。大量の密書をバラまき、敵に切り崩しを仕掛ける。優位に立つ西軍・石田三成(中村七之助)も呼応するように兵を進め、両陣計15万が集結。天下分け目の大戦が始まる。一方、大坂の茶々(北川景子)は家康の調略に揺さぶられる毛利輝元(吹越満)に不満が募り…という展開。
■「バーチャルプロダクション(VP)」とは
「VFX(Visual Effects)」とは「視覚効果、特殊効果」のこと。今回、本格的に導入された「バーチャルプロダクション(VP)」とは、屋外風景などのCG映像が映し出された「巨大LEDウォール」をセットの背景に置き、その前でキャストが演じる様子を撮影。スタジオにいながら、実際その場所にいるような臨場感、リアリティーあふれる映像を創出。そのクオリティーは「グリーンバック」を用いた「クロマキー合成」と全く異なる。
「どうする家康」で使用した巨大LEDウォールは横20メートル(最大25メートル)、高さ6メートル。撮影時には、NHKのスタジオ内に巨大LEDウォールが1つ設置された。
巨大LEDウォールに映し出されたCG映像がカメラと連動して動くものを「インカメラVFX」、カメラと連動しないCG映像を背景とするものを「スクリーン・プロセス」と呼ぶ。今作はインカメラVFX=3、スクリーン・プロセス=7の割合。背景となるCG映像は「城」「森」「農村」などの汎用コンテンツを約10パターン制作(1パターンの制作期間は最低約1カ月)。この汎用コンテンツを応用し、インカメラVFXコンテンツが100以上生まれた。
「どうする家康」全シーンのうち、巨大LEDウォールを用いたのは9割以上。第43回「関ヶ原の戦い」全編400カットのうち、グリーンバックによるVFXはわずか25カットほど。他の回も同程度といい、VPがいかに“戦力”となったかが分かる。
■本格導入の「3つの狙い」
1つは労働環境。91年の入局以来ドラマ部一筋、大河「秀吉」(96年)「功名が辻」(2006年)「八重の桜」(09年、チーフ演出)やスペシャルドラマ「坂の上の雲」第3部(11年、脚本・チーフ演出)などを数々の作品を担当してきた加藤監督は「大規模ロケは面白く、楽しいんですけど、労働環境としては過酷な面もあります。若い人たちが映像業界に入りやすいように敷居を低くしたい、体力がなかったり、家庭事情があっても参加できるように制作環境を改善したいと以前から思っていました。特に今回のように大きくデジタルシフトした制作手法に興味を持ってくれる若い世代は多いと思います。その時に体力が第1関門みたいな文化はやめにしましょう、と」
1つは映像表現。配信全盛となり、今や海外作品も簡単に楽しめるように。視聴者の目も肥えた。コロナ禍もあり、大規模ロケの実施は「どんどん厳しくなっています。制作費の兼ね合いもあって、合戦シーンを撮るにしても人は100人、馬は20頭がMAXとか。そういう状況の中で、大河ドラマが、日本のドラマや映画がいかにクリエイティブな映像表現を拡張していけるのか、ということですよね。特に大河は、毎週放送がありますから。働き方と作り方を同時に変えられる方法を探していた時、『マンダロリアン』(米SFドラマシリーズ、2019年)などで使われていたVPと出会ったわけです」
1つはコスト。VPを用いれば、天候待ちや酷暑などのロケのリスクが回避可能に。「異常気象などで撮影できない日があると、無駄なコストが発生します。大河の大規模ロケになると、クランクイン(『どうする家康』は22年6月)の半年前には場所から何から決めて、準備を始めないといけないんですが、丸1日ロケをしても、オンエアされる映像は数分。ロケでオープンセットを組んでも、その設定で使えるのは一度切りですし、廃棄費用もかかります。ロケの準備中も、スタジオ撮影は並行しないといけません。初期投資は必要ですけど、人的コストも含めて、クリエイティビティーとの兼ね合いを長期的に考えた時、大規模ロケよりVPの方が分がいいんじゃないか、と今回の挑戦に至ったわけです。イニシャルコスト(初期投資)を除いて、番組単体の制作費で比べれば、VPを導入した『どうする家康』が従来の大河の倍もかかったというようなことは全然ありません。スタジオの運営効率がどんどんよくなっていったので、最終的には初期投資した分で10%増しぐらいになるんじゃないでしょうか。イニシャルコストの開発費もロケに行かなかった分で相殺されていて、照明の電力量も従来の大河の10分の1。そのぐらい環境負荷は減っているんです」
■「どうする家康」で本格導入したワケ
大河ドラマ62作品のうち、戦国時代が舞台なのは約半分。“戦なき世”を実現した徳川家康は長寿のため「桶狭間から大坂の陣まで、今回は戦国のシチュエーションのほぼ全部がストーリーに入ってきます。それらをバーチャルプロダクションで表現できるよう、様々な世界観をCGで構築しました。今回制作したCG映像はアレンジしたり、アップデートしたりして、ずっと使えるようになっているので、今後の戦国大河だけでなく、歴史番組など他のジャンルの番組への展開などの投資、資産という意味でも『どうする家康』で導入する価値がありました。デジタルデータなので、実際のセットや小道具と違い、倉庫に保管する必要もありません」
■「どうする家康」の関ヶ原、どうなる?
「どうする家康」は第1回「どうする桶狭間」(1月8日)で「桶狭間の戦い」(永禄3年、1560年)、第15回「姉川でどうする!」(4月23日)で「姉川の戦い」(元亀元年、1570年)、第17回「三方ヶ原合戦」(5月14日)で「三方ヶ原の戦い」(元亀3年、1572年)、第22回「設楽原の戦い」(6月11日)で「長篠・設楽原の戦い」(天正3年、1575年)、第32回「小牧長久手の激闘」(8月20日)で「小牧・長久手の戦い」(天正12年、1584年)と、ロケは一部のみ。VPを駆使し、スペクタクルな合戦シーンを活写してきた。
そして、第43回「関ヶ原の戦い」。これらすべてで大規模ロケを行うとなると、途方もない。
大河の関ヶ原としては「葵 徳川三代」(00年)が“伝説のロケ”を敢行。初回45分間にわたって合戦の模様を描き、第2回以降で関ヶ原に至るドラマが展開されるという構成だった。1次ロケはエキストラ260人、馬60頭。使用された旗は4000本。2次ロケに投入された馬は延べ550頭に上り、大河史上最大規模の撮影となった。
今作はロケなしの関ヶ原。今年2月、合戦シーンに用いる映像をまとめて撮影した。
「設楽原の戦い」以降の大軍の行軍や陣形、戦闘シーンなど「65パターンくらいの合戦映像を4日間で一気に撮影しました。内心、足りない場面があると言われたら、どうしようと思っていましたが、杞憂に終わりました(笑)。スタジオに集まっていただいたのは60人ぐらい。関ヶ原は東軍でも、先陣の井伊直政勢、本多忠勝勢など部隊によって旗が違うんですけど、VPだと、あっという間に変えられます。ロケだと、それだけでも大変ですよね。家康が布陣した桃配山や三成の笹尾山の陣形も、バーチャルプロダクションで表現しました。関ヶ原が東西の旗で埋め尽くされる壮大な風景は、今まで見たことのない映像になったと思います。放送をお楽しみに」
前代未聞のチャレンジに取り掛かったのが21年夏。最初は巨大LEDウォールにCG映像が映らないなど「絶望的」と振り返ったが、「“戦国の景色”を変える」をテーマに、試行錯誤。合戦シーン以外にも、三河武士が泥まみれになった小牧・長久手の“謎の堀”造り、大坂城をはじめとする安土桃山文化の室内装飾の豪華絢爛さや空間の奥行きなども見事に表現した。
「家康の“戦人生”は地方大会から全国大会の決勝に駒を進めていくようなもの。兵馬の数も桁違いに増えていくんです。大河の大規模ロケは1作品で2回できればいいぐらいなので、VPでなければ、桶狭間から大坂の陣まで、すべて描き切るのは不可能だったと思います。スタッフも、キャストの皆さんも、VPの使い方に慣れていって、最終的には結構うまくいったんじゃないでしょうか」と手応えを語った。
ロケに比肩する「どうする家康」の関ヶ原。その映像にも期待が高まる。
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