映画「勝手にしやがれ」のゴダール監督 「自殺ほう助」で死去 91歳

[ 2022年9月14日 05:30 ]

65年、フランスの女優アンナ・カリーナさん(左)と映画祭に出席したゴダール監督(AP)
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 1960年公開の代表作「勝手にしやがれ」でフランス映画界にヌーベルバーグ(新たな波)を起こし、長年にわたり革命児であり続けた映画監督ジャンリュック・ゴダールさんが13日、スイス西部の自宅で死去した。91歳だった。フランス紙リベラシオンによると、スイスで認められている、死を選んだ人が医師処方の薬物を自ら使用する「自殺ほう助」により亡くなった。関係者は「病気ではなく、疲れ切っていた」と説明した。ここ数年は健康上の理由で公の場に姿を見せることは少なかった。

 フランソワ・トリュフォー、ジャック・リベット両監督ら映画刷新運動ヌーベルバーグの中心人物の多くは既にこの世を去り、最後の巨匠とされた。

 30年、パリで生まれ、スイスで育った。パリのソルボンヌ大に在学中、映画文化機関シネマテーク・フランセーズなどに通ってトリュフォー監督らと出会い、雑誌カイエ・デュ・シネマに映画批評を執筆した。

 短編映画から撮り始め、長編デビュー作として俳優ジャンポール・ベルモンドさんを主演に「勝手にしやがれ」を公開。ベルリン国際映画祭で最優秀監督賞(銀熊賞)を受賞した。

 即興演出や街頭ロケ、独創的な映画編集など新たな手法で映画界に革命を巻き起こし、「女は女である」(61年)「気狂いピエロ」(65年)などヌーベルバーグの代表作を次々と生み出した。65年「アルファヴィル」で同映画祭最高賞となる金熊賞を、83年「カルメンという名の女」でベネチア国際映画祭の金獅子賞(グランプリ)をそれぞれ受賞した。

 日本の溝口健二監督の作品を愛し、98年に完成した大作「ゴダールの映画史」で大島渚監督らの作品と共に取り上げた。沢田研二(74)の代表曲「勝手にしやがれ」(77年)の曲名は、作詞の阿久悠氏がゴダール作品から引用したと言われている。日本の芸能界にも多くの影響を与えた。

 私生活ではアンナ・カリーナさんら女優と2度にわたり結婚。いずれも長続きはしなかった。

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