立川談志さんの17歳時の思いをラジオ番組化

[ 2022年2月15日 08:10 ]

立川談志さんの著書「談志の日記1953 17歳の青春」

 【牧 元一の孤人焦点】落語家・立川談志さんの17歳時の思いがラジオでよみがえる。文化放送「談志の日記 17歳の青春」(19日後6・00)がその番組だ。

 プロデューサーの塚本茂氏は「談志さんは16歳で高校を中退し、柳家小さんさんに入門した。当時は『柳家小よし』と名乗っていたが、17歳にして『立川談志』だったのか、それとも、『普通の17歳の少年』だったのか。そこに興味を持った」と明かす。

 談志さんは2011年11月21日に亡くなり、昨年が没後10年。多くの関連書籍が出版された中で、談志さん自身が残していた「談志の日記1953 17歳の青春」は異彩を放っていた。

 塚本氏は「この本がダントツで面白かった。談志さんの日記の中で最も古く、1953年1月から12月までのことが記されているが、『学校へ行って見たくなった』という17歳の少年らしい思いと、『われながらうまい』という落語家としての自信の両面が随所に描かれている」と話す。

 ラジオ化に当たっての課題は、日記の内容の表現方法。複数の登場人物が存在することから、ドラマ形式も考えられたが、結果として、モノローグ形式を採用した。

 「日記のテイストを損なわないようにするには、やはり、時系列で追いながら表現するのが良いと考えた。17歳の少年の声を出せる声優さんにやっていただくことも考えたが、落語の稽古の場面を生かすためにプロの落語家が必要だと思った」と話す。

 パーソナリティーに起用したのは、談志さんの孫弟子に当たる立川吉笑。立川談笑の一番弟子で、「談志イズム」継承のために「談志の孫弟子の会」を主宰している。

 「先日、収録を行ったが、本人は『談志は神様。17歳とは言え神様を演じることに、もの凄いプレッシャーを感じた』と言っていた。制作側としては、プレッシャーを感じつつも楽しんでやってくれた印象を受けたので、吉笑さんにお願いして良かったと思っている。本人は帰り際に『一門にはいろいろな人がいるので、なぜ吉笑がやるんだ?と言う人もいるだろうな』と心配していたが…」

 番組では、1953年当時の東京の音風景を効果音として再現。談志さんが気に入っていた映画のサウンドトラックなども交え、吉笑のモノローグを引き立たせる。

 「1953年はラジオドラマ『君の名は』がヒットしていた時代。談志さんが気に入っていた映画には『禁じられた遊び』や、17歳の少年が見ないような、森繁久彌さんのサラリーマンものがある。当時のことを知っている人は懐かしいと思うだろうし、知らない人はこんな時代があったのかと思うだろう」

 この番組は談志さんのファンはもちろん、談志さんをあまり知らないリスナーも聴くに違いない。

 「当時の談志さんのかっとう、17歳の少年の揺れ動く気持ちが伝われば」と塚本氏は語った。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴30年以上。現在は主にテレビやラジオを担当。

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2022年2月15日のニュース