88歳大道芸人ギリヤーク尼ケ崎 東京五輪出たい!「恩返しを」

[ 2018年10月9日 05:30 ]

大勢の観衆に囲まれ芸歴50周年記念公演を行うギリヤーク尼ケ崎(撮影・岸 良祐)
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 伝説の大道芸人ギリヤーク尼ケ崎(88)が8日、東京・新宿で芸歴50周年を記念した「青空舞踊公演」を行い、2020年東京五輪・パラリンピックへの参加に意欲を示した。

 広場を囲んだ約2000人の拍手に迎えられ、車椅子で登場。パーキンソン病で手足が震え、背骨が曲がる「脊柱管狭さく症」などを患い体は不自由。それでも、大観衆の前でスクッと立ち上がり、十数年ぶりの新作「果たし合い」を披露。友人の俳優近藤正臣(76)から譲り受けた刀のつばを手に鬼気迫る表情を見せた。足腰が弱り断念していたらせん階段上りも復活。「ギリヤーク日本一!」の掛け声を浴び、生き生きした笑顔を返した。

 芸歴50年を振り返り「私は踊るしか芸のない芸人です。急にこんな体になってしまって私自身も驚いた」と人目もはばからず涙。老いや病魔と闘う一方、魂は衰えておらず「まだ88歳。あと2年は踊っていきたい。できれば東京五輪に出たい」。芸人になる前は、器械体操の選手として故郷北海道の代表で国体に出場。五輪への夢はあせていない。「感謝を込めて日本に恩返しをしたい」と力を込めた。

 68年10月に東京・銀座で街頭デビュー。以来、国内のほかニューヨーク、パリなどで公演し、投げ銭を糧に生きてきた。阪神大震災、東日本大震災の被災地や米同時多発テロの現場でも踊り、その姿は「鎮魂の舞」と評される。

 ◆ギリヤーク尼ケ崎(ぎりやーくあまがさき=本名・尼ケ崎勝見=あまがさき・かつみ)1930年(昭5)8月19日生まれ、北海道函館市出身の88歳。俳優を志し21歳で上京。68年10月に東京・銀座の街頭で大道芸人としてデビュー。バケツの水をかぶる「念仏じょんがら」が十八番。伊丹十三監督に気に入られ、映画「タンポポ」「マルサの女」などに出演。

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