蜷川さん「マクベス」香港と英国で追悼公演 25年ぶり海外へ

[ 2016年7月7日 05:30 ]

昨年17年ぶりに復活した「NINAGAWA・マクベス」に出演した市村正親と田中裕子。来年の海外追悼公演も同じキャスト、製作陣で臨む

 5月に死去した演出家の蜷川幸雄さん(享年80)の世界的評価を確立した名作舞台「NINAGAWA・マクベス」が来年、香港と英国で追悼公演として上演されることが決まった。海外公演は92年のシンガポール以来、25年ぶり。

 同作は80年に初演。シェークスピアの戯曲を、セリフと人物設定はそのまま、時代を日本の安土桃山時代に移し変える試みは賛否を呼んだが、85年のスコットランド・エディンバラ公演が絶賛され海外からのオファーが激増。87年にはロンドン公演が大成功を収めた。シェークスピアの母国に認められたことで「世界のNINAGAWA」と称されるようになった。

 昨年、市村正親(67)と田中裕子(61)のコンビで17年ぶりに復活。蜷川さんが「人生の終わりにさしかかり、本当に自分が世界性を持った作品をつくれていたのか、圧倒的力量だったのか確認したくなった」との覚悟で臨んだ作品に、詰めかけた約10カ国の演劇関係者が自国での上演を熱望。その中から、世界的評価を決定づけた記念の地・英国と、14年の滞在中に体調が悪化した際、手厚い対応を受けた香港が蜷川さんの意向もあり選ばれた。蜷川さんの死後も、ともに予定通りの上演を熱望。香港で来年6月、英国では同10月にロンドン、プリマスの2都市で公演することになった。

 キャスト、製作陣は昨年の復活公演と同じ陣容。マクベス役の市村は「昨年の稽古から幾多の駄目出しを受けたが、最後、台本にサインをお願いしたら“頑張った。蜷川幸雄”と書いてくれた。普通ならプレッシャーは感じるでしょうが、僕にはニーナ(蜷川さんの愛称)がついている。胸を張って乗り込みたい」と意気込んでいる。

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