大友康平 NHK仙台、被災地発のドラマ主演「地元に恩返しできれば」

[ 2013年12月11日 17:28 ]

NHK特集ドラマ「かつお」完成会見に登場した(左から)芦名星、大友康平、梅沢富美男

 歌手で俳優の大友康平(57)が11日、東京・渋谷のNHK放送センターで行われた主演ドラマ「かつお」(18日後7:30、NHK総合)の完成会見に共演の芦名星(30)、梅沢富美男(63)とともに出席した。

 東日本大震災の被災地の今をドキュメンタリーで伝えてきたNHK仙台放送局が震災後初めて制作した被災地の人々を描いたドラマ。三陸の浜を舞台に、妻・幸江(鈴木京香・45)を津波で失った2人の子を持つ“かつお”こと元漁師・山村武雄とその周辺で繰り広げられる、せつなくも愛のある物語。仮設住宅をはじめ、地元住民も多数エキストラとして参加し、10月上旬から約1カ月かけて撮影された。ドキュメンタリーを撮ってきた局だからこそ描ける、取材で培った「細部のリアルさ」を大切に被災地の今を描き出している。

 宮城県生まれで、大学時代を仙台で過ごした大友は「地元の仙台放送局の制作というのに意味があると思った。自分自身も仙台で熱くバンド活動をしてから全国に旅立った。地元に対して何か恩返しができればと思っていたので、2つ返事で引き受けた」。福島県出身の梅沢も「(NHKの東京)本局が作ろうと言ったら、出るのはやめようと思った。自分たちで経験した仙台の方が作るなら、リアルに作れるんだろうと。もう一度大変なことが起きたんだなということを忘れないでもらえたら」と出演を決めた理由を語った。

 3人の中で唯一、被災者ではない役を演じた福島県出身の芦名は「自分の役も被災地側の人間だと思っていたので、台本を開いて福岡出身ってなっていて“こっち側なんだ!”って驚いた」と苦笑い。「ただ、震災で辛い思いをした気持ちはどんな人間にもあるし、それを乗り越えようとする代表として私の役があると考えて演じた。ドラマでしか描けないこともあると思う。細かい感情も伝えていければ」と続けた。

 ドラマ後半では、娘を迎えに行く途中で津波の被害にあった幸江の車が震災から2年経過し、海で引き上げられるというシーンもある。とても印象的なシーンに仕上がっているが、大友は「息子役の子と終始一緒にいて本当に親子のような空気感が生まれてきた時に、亡くなったお母さんを思うというシーンだったので、お芝居を超えた親子の愛情が自然とわき出た感じだった」と撮影を振り返った。

 町一番の民謡名人である元漁師の長老を演じた梅沢は劇中で宮城県民謡の「斎太郎節」を歌うクライマックスでシーンがある。「役者もやって歌もやって、1回だけですが、紅白にも出たことがある。うまく歌わないといけないと思って、できれば先生の歌を流して口パクで!とも思った。ただ、先生からは民謡歌手じゃないんだから、そのまま歌ってくださいって言われて、へたくそでしたけど、目いっぱい歌わせてもらった。ただ、(収録後)先生には“いいんじゃないですか”って軽く言われたのが印象的でしたね」とエピソードを明かし、笑わせていた。

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