阿久悠さん“空白の6カ月”ドラマで真相描く 吹越満が主演

[ 2013年12月2日 10:29 ]

NHKBSプレミアム「歌謡曲の王様伝説 阿久悠を殺す」で阿久悠さんを演じる吹越満

 昭和の歌謡曲を代表する作詞家、故阿久悠さんの“空白の6カ月”に迫るドラマが完成した。NHKBSプレミアム「歌謡曲の王様伝説 阿久悠を殺す」(22日後10・00)で、吹越満(48)が主演。1979年に突然、半年間の休筆を宣言した阿久さんの苦悩や葛藤を描く。

 制作サイドが周辺への取材と文献を調べ、事実を基に創作。舞台は自伝的小説「瀬戸内少年野球団」が直木賞候補になったが「該当作なし」と発表された80年1月17日の夜。吹越演じる休筆中の阿久さんが結果を知った後、古びたスナックに迷い込むというフィクションの世界が展開される。

 脚本を担当した一色伸幸氏は「落選後、頭の中はいろいろな思いがグルグル回っていたはず。その脳内をスナックで表現しました」と語る。「休筆は現実から逃げた!」と絡む若者や、好きな歌詞をしみじみと伝える年配の男性ら、さまざまな客と交流後、再出発へ歩きだす姿が映し出される。

 阿久さんは復帰した80年に「雨の慕情」で日本レコード大賞を受賞、その後も「もしもピアノが弾けたなら」(81年)、「時代おくれ」(86年)など、聴く人の心に響くヒット作を作り続けた。

 テレビマンユニオンの杉田浩光プロデューサーは「今年は七回忌の節目を迎え、ドラマを通じて、人生の曲がり角をどう見つめ、再スタートしていくかという万人のテーマを人生のテキストとして取り上げたかった」とする。熱演した吹越は「阿久悠を演じるというより、ただ“人生で迷子になる男の話”と思えば、僕にも誰にもあり得ること。そう考え、あえて挑戦してみることにしました」と語った。

 ▼阿久悠さんメモ 07年8月1日に尿管がんのため70歳で他界するまで、5000曲を超える作品を手掛け、アイドルポップスから演歌まで多くのヒット曲を生んだ。日本レコード大賞に「また逢う日まで」「北の宿から」「勝手にしやがれ」「UFO」「雨の慕情」の5作、オリコンチャートでの1位獲得は22曲。「ピンク・レディー」の作詞でも知られる。

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