佐渡裕氏「夢の」ベルリン・フィル指揮に男泣き

[ 2011年5月22日 06:00 ]

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を初めて指揮し、演奏終了後拍手に応えステージへ戻る佐渡裕さん

 テレビ朝日「題名のない音楽会」の司会を務める指揮者の佐渡裕氏(50)が20日(日本時間21日)、世界有数の名門オーケストラ「ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団」の定期公演で初めて指揮した。近年で日本人としては恩師の小澤征爾氏(75)以来。小学生の卒業文集にもつづっていた約40年越しの夢をかなえ、舞台上で男泣きした。この演奏はCDとDVDで発売し、印税分を東日本大震災の義援金に充てる。

 2000人以上の観客の前で大粒の涙をこぼした。大きな拍手と「ブラボー」の喝采。降壇後も鳴りやまず、舞台へ呼び戻された。

 「夢のベルリン・フィルの指揮台に立ててうれしい。世界トップのオーケストラから出てくる音は違う。お客さんの温かい拍手もうれしかった。さすがに泣いてしまった」

 小学校の卒業文集には「20年後の自分」として「オペラ歌手になって世界の歌劇場で歌うか、ベルリン・フィルの指揮者になる」と書いた。そこから30年以上かかったが、50歳になって夢をかなえ「自分の目指す“新しい扉”が開いたような気がする」と語った。

 プログラムは、武満徹の現代音楽「フロム・ミー・フローズ・ホワット・ユー・コール・タイム」と、ショスタコービッチの交響曲第5番。1メートル87の長身を生かしてダイナミックに指揮し、時にジャンプを交えてタクトを振った。

 下積み時代の苦労が報われた。

 小学6年の時、担任にフルートを薦められて音楽の道を志したが、大学2年にして「指揮者になりたい」とフルートから転科。ママさんコーラスなどの指揮をしながら我流で学んだが、何度もオーディションに落選。87年、米国の音楽祭のオーディションで、米指揮者レナード・バーンスタイン(90年死去)と小澤氏に独特な演奏スタイルを面白がられて合格すると、一気に世界的指揮者にまで駆け上がった。

 「私は40年前の夢を実現できた。被災地の方々には夢を持ち続けてほしいというメッセージを送りたかった」。震災後、東北各地で演奏会を開き、小学校を回って授業もした。努力は必ず報われることを伝えてきただけに「この仕事を全力でやり遂げる姿を子供たちに見せたかった」と充実した表情を見せた。公演は22日まで3日間行われる。

 ◆佐渡 裕(さど・ゆたか)1961年(昭36)5月13日、京都市生まれの50歳。京都市立芸術大卒業。89年、フランス・ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝。93年から昨年まで同国のコンセール・ラムルー管弦楽団の首席指揮者を務めた。兵庫県立芸術文化センターの芸術監督。08年4月から「題名のない音楽会」の5代目司会者に。

 ≪6月29日にCD発売≫CDは「佐渡裕ベルリン・フィル・デビューLIVE」のタイトルで6月29日発売。DVDの詳細は未定。また、公演最終日の22日夜(日本時間23日未明)は有料インターネット動画サービス「デジタル・コンサートホール」で生中継される。

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