菅原文太“台本”なし別れの言葉「大木が倒れた」

[ 2011年5月11日 06:00 ]

通夜に参列し、棺の中の岡田茂名誉会長の顔を見つめる菅原文太

東映名誉会長・岡田茂氏通夜

 岡田茂氏の通夜に出席した菅原文太(77)は、原稿を持たずに遺影の前に立ち「岡田さん、もうけんかもできなくなりましたよね。よく、怒鳴られ、怒鳴り返したこともあった」と一言一言、かみしめるように語りかけた。そして98年に移住した岐阜・飛騨地方での話を引用して続けた。

 「大木が倒れた。飛騨の50年山に入っていた山男に聞いた話だけど、ふた抱えもある檜(ひのき)を電気ノコギリじゃなく、大きな手ノコで倒す時に“東横山、檜一本寝るぞ~”と大きく呼ばわるそうです。きのうの朝、岡田さんという大きな木が倒れる音が農園の裏山から聞こえてきました」

 岡田氏が社長時代に大ヒットさせた「仁義なき戦い」や「トラック野郎」シリーズに主演。こうした任侠路線や人情路線は下火となった。「でも、心配しないでください。岡田さんの後の檜が大きく育ってますから。今の偽善的な世の中にパンチを食らわすような東映作品が必ず生まれます」と力強く語り「岡田さん、さようなら、安らかに」と別れを告げた。

 これに先だち、60年代に東映の看板女優として活躍した三田が弔辞を読んだ。スケジュールに余裕がほしいと直談判した際、岡田氏から「仕事というものは後先も考えずに前へ前へと進むことも必要なんだよ。ここで立ち止まっちゃいかんのだよ」と諭されたことを明かし「そのゆらぎのない一言に大人の生きることの厳しさを深くのみこみ、今でも私の大きな指針となっています」と声を震わせた。

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