原田芳雄 計134歳のラブストーリー熱演

[ 2011年1月10日 06:00 ]

映画「大鹿村騒動記」で大鹿歌舞伎を熱演する原田芳雄

 俳優の原田芳雄(70)が女優の大楠道代(64)と計134歳のラブストーリーを演じる。映画「大鹿村騒動記」(7月16日公開)で、長野県大鹿村を舞台に、18年前に別れた元夫婦が村に約300年前から伝わる歌舞伎を通して、再び心を通い合わせていく姿を描く。「どついたるねん」「座頭市 THE LAST」で知られる阪本順治監督がメガホンを取った。

 原田が演じるのは18年前、元妻と友人に駆け落ちされた男性役。記憶障害となり過去を忘れた元妻が、村に戻って来る場面から物語は始まる。

 男性は複雑な感情を抱きながらも、元妻を不憫(びん)に思い、友人も交えた共同生活をスタート。元妻の記憶を取り戻そうと大鹿歌舞伎の舞台に立ち、熱演を見せて、再び元妻と心を通い合わせていく。

 ワイルドなイメージの原田が、妻に逃げられるという珍しい役どころ。一方で、岸部一徳(64)演じる駆け落ち相手を殴るシーンでは、激情を見せて男性の元妻への思いを表現している。

 見どころの一つとなるのが原田の歌舞伎。大鹿歌舞伎の役者や裏方から指導を受けて、見事な演技を披露。観客役のエキストラとして集まった村民らからはワンカットを撮り終える度、大きな拍手が巻き起こった。

 同作は、原田が2008年にNHKドラマ「おシャシャのシャン!」の撮影で大鹿村を訪れた際、歌舞伎を受け継ぐ村民の思いに触れ、阪本監督に企画を持ち掛けた。原田は「初めて歌舞伎を見た時にかなり衝撃に近い面白さを感じた。娯楽そのものの原点であり、それが300年以上継続されている。これで何か発想できればと思った」と経緯を説明する。

 撮影は昨年11月4日から18日までの約2週間、携帯電話も通じにくい大鹿村に泊まり込んで行われた。休日もないハードスケジュールで、08年11月に大腸がんの手術を受けた原田の体調が気遣われたが、全シーンの約9割に及んだ自身の出演パートを演じ切った。

 ほかに松たか子(33)佐藤浩市(50)らが出演する。

 ≪阪本監督、苦笑い≫原田が阪本監督の作品に出演するのは、「どついたるねん」など7作目。しかし、原田は今作を阪本監督に持ち込む際「おまえとは一緒に仕事したことがない」と話し、企画の実現を迫った。原田は「ずっと“なんかやってくれ”という強烈な願望があったからね」といたずらっぽく笑って意図を説明。阪本監督は「原田さんにそう言われたら、最優先でやるしかない」と苦笑いで振り返った。

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2011年1月10日のニュース