“冬美超え”だ!クミコ反戦歌USEN1位

[ 2010年5月5日 06:00 ]

「INORI」を歌うクミコ

 歌手のクミコ(55)が歌う「INORI~祈り~」が、最新のUSEN総合チャートで1位になった。広島市の平和記念公園にある「原爆の子の像」のモデルとなった故佐々木禎子さんにささげた反戦歌だ。3日、禎子さんが折った鶴が展示されている米ニューヨークの米中枢同時テロ追悼施設で親族らが世界平和を誓った。

 2月24日に発売した「INORI…」は、発売から約2カ月たちUSEN総合チャートで急上昇。坂本冬美の話題曲「また君に恋してる」などを抑え1位に上り詰めた。
 禎子さんの兄・佐々木雅弘さん(68)の次男で、シンガー・ソングライターの佐々木祐滋さん(39)が作詞作曲。戦争反対をテーマにした曲が同チャートにランクインするのは、森山良子(62)の「さとうきび畑」(01年)以来で、クミコは「このような歌が多くの方に聴いていただいていると思うと驚きと同時に大変うれしく思います」と話している。
 6月6日にはニューヨークのセントラルパークで開催される「JAPAN DAY」でも歌うことが決定。今回が4回目の日米文化交流の一環で世界的に活躍するジャズの渡辺貞夫らも参加、約5万人が集まる一大イベントだ。
 ヒロシマの悲劇を背景にした歌で米国のステージに立つことについてクミコは「原爆の歌を原爆を落とした国で歌うことは否定的にとらえられる可能性もあると思います。けれど、この歌は人間の歌です。途方もない大きな力で、自身の生を折られてしまった人間の歌です。私は救いを求めて歌いたいと思います」と話している。当日は、美空ひばりさんの唯一の反戦歌「一本の鉛筆」なども歌う予定。
 今年は終戦から65年。CDリリースにあわせて立ち上げた「INORIプロジェクト」も大反響。この歌を聴き共感した全国の人々から平和への願いが込められた折り鶴などが続々と事務局に届けられている。広島に原爆が投下された8月6日には、市内で佐々木祐滋さんとともにライブを行い、集まった折り鶴を禎子さんの平和公園の銅像のもとに届ける。

 ≪禎子さんの親族 米で平和の誓い≫ニューヨークの米中枢同時テロ追悼施設では現地時間3日、禎子さんの親族や同時テロの遺族らが集まり「戦争のない平和な世界を目指そう」と誓い合った。祐滋さんも参加し「INORI」を披露した。
 同時テロ後に、日本人犠牲者の遺族が千羽鶴を折り、施設に寄贈したことを知った雅弘さんが、07年に禎子さんの折った鶴を寄贈。昨年から展示されたのを機に招待された。雅弘さんは禎子さんが病気の痛みを口にせず、周囲に「ありがとう」と言って亡くなったことを紹介。「同時テロの遺族の悲しみと、原爆の被害に遭ったわたしたちの悲しみは同じだ。皆さんが禎子の思いやりの心を伝えることが平和につながると確信している」と訴えた。

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2010年5月5日のニュース