川村カオリさん 翼を広げ 天国へ

[ 2009年8月1日 06:00 ]

川村カオリさんの告別式終了後、棺が参列者の手で霊柩車に運ばれる

 7月28日に乳がんのため亡くなったロック歌手、川村カオリさん(享年38)の葬儀が31日、東京・千代田区のニコライ堂で営まれた。ロシア正教で埋葬式と呼ばれる本葬で、親交のあった俳優の水谷豊(57)が弔辞を読んだ。参列者500人が悲しみに暮れる中、1人娘るちあちゃん(7)は最後まで涙を見せず、気丈に母を天国に送り出した。

川村カオリさん通夜、気丈な長女に参列者涙…

 埋葬式は予定より1時間長い2時間に及んだ。聖歌隊が聖歌を歌う中、友人らが献花台や棺の中に赤いバラ、白いカサブランカを添えた。
 喪主を務めた2歳下の弟、忠(ただし)さんは「思えばちょうど10年前、母も同じ闘病生活の末に(乳がんで)亡くなり、その時の記憶と重なってしまい涙がぬぐえません」とあいさつ。「るちあへの思いから気力が打ち勝ち、一時完治しました。しかし、まさかこの日が来るとは思ってもいませんでした」と悲痛な面持ちで続けた。通訳の仕事でロシアにいた父の秀(すぐる)さんはこの日帰国して間に合った。
 昨年10月にがんの再発を告白して以来、食事会を開くなどして精神的に支えてきたのが水谷。頻繁にメールを交わし合い、がんの進行の速さを知っていたようだ。それだけに5月5日に東京・渋谷C・C・レモンホールで開催した最後のライブを「奇跡だと思います」と振り返った。
 川村さんは同公演で「翼をください」など約3時間、歌いきった。息切れするたびに、舞台袖では、るちあちゃんが酸素吸入を手伝った。
 ♪泣かないで、泣かないで(中略)きっと大丈夫…。最新曲「バタフライ」では、がんに勝って生きる意志を愛娘に向かって歌った。そんな前向きな姿が、るちあちゃんの目に焼き付いているのだろう。
 黒柳徹子(75)は真っ先に駆け寄ると、るちあちゃんは涙ひとつ見せず、ただ参列を喜んだという。参列者が最期の別れを惜しみ、ニコライ堂の鐘が何度も響く中、最後に棺のふたを閉めたのも、るちあちゃん。黒柳は「子供の凄さを初めて見た。子供は前向きに生きていく。そこ(悲劇)にとどまらず立派に育っていくんですね」と涙ながらに明かした。

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2009年8月1日のニュース