【棚橋×ウルフ1・4直前対談(4)】新日本イズム継承――棚橋「大きな夢を語れ」それがプロレスラー
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――ウルフ選手は16年の内藤哲也―オカダ・カズチカ戦(※7)をベストバウトとして挙げてますが、理想像はありますか?
ウルフ 正直やってみないと分からない。どんどん変わっていくものだと思います。自分自身をディグりながら内側を出していければ。理想じゃなくても、それが自分なので、それでいいと思います。僕は僕のままやるだけです。
――この26年間、棚橋選手は脱ストロングスタイルを図り、新たな「新日本イズム」をつくり上げた。その根本には、どこにも負けない練習量と誰が来ても負けないという新日本の「道場論」があったと思います。
棚橋 しっかりトレーニングを積んだ上でリングで出しているのは本当に氷山の一角。その下にある努力の量はずっと今も昔も変わっていません。だから新日本はこれだけ長く続いているんだと思います。
――「愛してま~す!」や「100年に一人の逸材」というフレーズをつくり上げた棚橋選手といえば「言葉の力」も魅力。東京ドームを満員にすると言い続け、それも「有言実行」となりました。その点でアドバイスはありますか?
棚橋 五輪を目指すアスリートはあまり大きいことは言えなかったと思う。結果が伴わないと、批判の矛先が向いたりするので。プロレスラーは大きく話を振ってやるもの。「絶対勝つ」「てめえ絶対にぶっ倒す」と言って、そこでファンの期待感を高める。全力を尽くして勝てなかったとしても、次また応援に来てくれる。これからは大きな夢を語って、大きな目標を口にして、常に前向きにいってほしい。
ウルフ 柔道選手としてやってきて、大きいことを言うと煙たがられるというのはあったかもしれません。今まではそういうことをオブラートに包みながらやってきた中で、プロレスラーになった暁には自分の思ってることを真っすぐに伝えていきたいと思います。
――ラストマッチとなるオカダ戦について。
棚橋 ドームのメインはいつも緊張する。セミにIWGP世界ヘビー級タイトルマッチもありますし、しっかり調整してベストを尽くす。12年のオカダの凱旋試合(※8)は一発でレインメーカーで取られてしまった。あの時のレインメーカーショックがまだ癒えていない。きっちりと14年前の借りを返して終わりますよ。
(※7)6月の大阪城ホール大会で激突。レインメーカー(短距離変形首折り弾)3連発でオカダが内藤を下し、約3カ月ぶりにIWGP王座を奪回。ウルフは入団会見でベストバウトに挙げ「気持ちが揺さぶられた」と発言。
(※8)12年2月の大阪大会で海外遠征から帰国したオカダと対戦。実力未知数の24歳の若手だったオカダがレインメーカーで勝利し、IWGP王者となった。あまりにも衝撃的な幕切れは「レインメーカーショック」と呼ばれ、海外にも広まる。
【ウルフという男】柔道家としては内股や大内刈りを得意としながらも、豊富なパワーとスタミナ、何より緻密な戦術で東京五輪で金メダルを獲得し、畳の外では人を楽しませずにはいられないエンターテイナー。後者は保守的な柔道界では十分に発揮できなかっただろうから、プロレス界はウルフのセカンドキャリアとしてうってつけの舞台と言える。
体毛が濃いという悩みを相談したり、プライベートの問題を自ら明かすなど、取材の場でも常に笑いが絶えなかった。空港取材では他の選手が到着口に出てくるまで、30分以上も1人で対応してくれたこともある。東海大の後輩、岡田を高田川部屋とつなぐなど、面倒見の良さも抜群だったウルフ。孤高の存在感はなくとも、まさに記憶に残る柔道家だった。
【棚橋という男】棚橋は、父親が猪木氏の大ファンで本名「猪木寛至(寛は目の右下に「、」)」から「至」という字を取って「弘至」と名付けられた。99年にデビュー。03年に自らが提唱したU―30無差別級王座決定戦で優勝し、自身初のタイトルを獲得。中邑真輔や柴田勝頼らと競い頭角を現した。06年には当時IWGPヘビー級王者のブロック・レスナーに挑戦予定も契約トラブルで、急きょ決定した新王者決定トーナメント戦でGバーナードを下して初のIWGPヘビー級王座に就いた。新日本の集客が伸び悩んだ時期にもあたり、長髪にロングスパッツと新たな路線に挑戦。「100年に一人の逸材」「愛してま~す!」のフレーズでエースとして活躍した。得意技のハイフライフローやスリングブレイドなどを使い、何度敗戦しても諦めない姿勢がファンの心をつかみ人気は回復。26年間のレスラー人生で両膝のじん帯8本のうち5本を失うなど満身創痍(そうい)で戦い続け、23年12月に新日本プロレスの社長に就任、引退を決意した。19年にはIWGPヘビー級王座8度の最多戴冠記録をつくった棚橋は最後の東京ドームでみんなの記憶に残る。
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