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寺地拳四朗が京口下し2団体統一王者 7回TKO、5回にもダウン奪う 夢の4団体王座統一への1歩

[ 2022年11月1日 21:30 ]

プロボクシングWBC&WBA世界ライトフライ級王座統一戦 ( 2022年11月1日    さいたまスーパーアリーナ )

<WBA・WBC世界ライト・フライ級王座統一戦 寺地拳四朗・京口紘人>5回、京口(右)からダウンを奪う寺地(撮影・島崎 忠彦)
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 WBC世界ライトフライ級王者・寺地拳四朗(30=BMB)がWBA同級スーパー王者・京口紘人(28=ワタナベ)を7回2分36秒、TKOで破り、2団体統一王者となった。今年3月に再び獲得したWBC王座の初防衛に成功するとともに、学生時代からしのぎを削り、プロでも同じ17年に世界王座を獲得した“ライバル”を退け、階級最強を証明した。今後はWBO王者との統一戦など夢の4団体王座統一へ突き進む。

 5ラウンドにダウンを奪うなど、拳四朗の技術と気迫、そして手数で、京口のパワーと闘志を上回った。7回にも右ストレートでダウンを奪い、レフェリーが試合を止めた。「僕の方が有利やと思います。こんだけボクシングをやってると、だいたい実力は分かるんで。そういう面から自分の方が上回ってると思うなあ」。前日計量で話したとおり、学生時代も3勝1敗だった相手に“先輩”の実力を示して、10年ぶり2度目となった日本人同士の2団体王座統一戦を制した。

 「僕がゲームプレーヤーで加藤さんがコントローラーを握っている感じ。完璧な指示どおりに動いていれば勝てる」。練習相手が多い東京の三迫ジムを拠点にして以来コンビを組み、絶大の信頼を置く加藤健太トレーナーと京口対策を練ってきた。自分有利の距離感とポジションを常に意識し、打ち合いでも足を使っても戦えるように練習を積み重ねた。スパーリングでは3階級上のバンタム級の国内トップ選手を圧倒。父の寺地永BMBジム会長は「体でボクシングを覚えていた拳四朗が頭を使うようになってレベルが上がった」と加藤トレーナーに感謝し、同トレーナーも「なぜこの戦い方か、なぜこの動きをするのか、と自分から質問してくる回数が増えた」と成長を口にした。

 2つの挫折を乗り越え、プロボクサーとして覚醒した。1つは7連続防衛中だった20年の“泥酔騒動”。周囲から離れていく人もいた中、昨年9月には矢吹正道(緑)にまさかのTKO負けで王座陥落。具志堅用高氏(元WBA世界ライトフライ級王者)の13連続防衛記録を更新する夢が消え、加藤トレーナーの「俺は続けたい。まだいける」との励ましにも応じられないほど心が完全に折れた。だが、敗戦を受け入れて再起。「挫折や負けることも人生には必要だと分かった」。才能を持て余していた男が、ボクシングに本気になった。

 従来は2キロの水抜きを含む試合直前の3~4キロの減量に苦しんでいたが、酵素ファスティングを導入。本人も永会長も加藤トレーナーも「今まで一番」と声をそろえたコンディションで、連続防衛記録の消滅後に切り替えたターゲット、王座統一戦に臨んでいた。拳四朗が京口からWBAベルトと米リング誌認定ベルトを獲得し、次の目標はライトフライ級史上初となる3団体王座統一。「4団体統一をしたい」という新たな野望へ、拳四朗がさらに覚醒を続ける。

 ▼寺地拳四朗 ちょっとあせったっすね。これもいい勉強になりました。ひと言で言うと、ホンマに幸せ。これ(ベルト2本)を早く、僕は(トレーナーの)加藤さんにかけたくて。僕は加藤さんに強くならせてもらっている。信用して戦えて良かった。本当に強い相手で、途中ちょっとあせっちゃった部分もあったんですけど、加藤トレーナーの言う通り、もっと冷静に。普通にやったら、倒すというより、勝手に倒れる。それは自分でも言ってたけど、やっぱり試合になると、あせって忘れちゃうところがあるので。すごい勉強にもなる試合になって良かったです。打ち合いでも勝てる自信はあると最初から言ってたので。あとは加藤トレーナーの言う通り、動いただけという感じです。

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