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天心が最強!左フックで武尊ぶっ倒した!世紀の一戦は判定5-0、42戦無敗でキックボクシングに別れ

[ 2022年6月20日 05:30 ]

THE MATCH 2022   〇那須川天心 5ー0判定 武尊● ( 2022年6月19日    東京ドーム )

<THE MATCH2022>武尊(左)からダウンを奪い、拳を突き上げる那須川(C)THE MATCH2022
Photo By 提供写真

 約8年越しで実現した「世紀の一戦」は19日、東京ドームに5万6399人を集めて行われ、RISEの「神童」那須川天心(23=TARGET/Cygames)がK―1の「天才」武尊(30=SAGAMI―ONO KREST)を判定5―0で下し、42戦無敗でキックボクシングラストマッチを終えた。日本格闘技史上最高とされる舞台を制した那須川は今後、ボクシングに転向予定。「第2章」で新たなチャレンジに臨む。

 全てを出し切った9分間。判定結果を聞く前に、那須川の目は既に真っ赤になっていた。6年7カ月の年月を経て、たどり着いた“世紀の一戦”は5―0判定勝利。武尊と涙で抱き合うと、大声で叫んだ。

 「やったぞーー!俺、勝ったんだよ!なかなか実現しなくて、ホントなんか、恋人みたいな感じで好きになったりフラれたり、人生いろいろあるけどこうやって最後、武尊選手と東京ドームという満員の舞台で戦えて、本当に俺、幸せです」

 序盤から手数で上回り右ジャブを有効に使い主導権を握った。1R終了間際、左フックでダウンを奪った。「会心の左でしたね。コンパクトに、刀のように切るイメージ」。2R以降、焦って大振りになる武尊の圧力にも冷静に対処。バッティングで右の視界は鈍りながら、究極の殴り合いを乗り切った。

 自分から仕掛けた勝負だから、負けるわけにはいかなかった。2015年11月21日、K―1の会場に出向いて観客席で観戦。試合後に花道を引き揚げる武尊に歩み寄り、対戦を直訴した。しかし、アピールのためにリングに上がろうとするも「IDが必要」と門前払いされた。存在すら認められなかった屈辱が、その後の成長の原動力となった。RIZINで総合に挑戦し、メイウェザーとも対戦。連勝を重ねながら実力と人気を積み重ね、歴史の針を動かした。

 「負けたら本当に死のうと思っていた」。悲壮な覚悟を胸に、心身を研ぎ澄ませた。ボクシング練習を封印し、ジムの会長を務める父・弘幸氏以下「チーム天心」の仲間と対策を練った。「笑ったときに、こう来るとか、全て対策を考えてきた」。終盤、相手がノーガード戦法で揺さぶってきても、冷静に対応できた。

 「俺、今日勝って初めて自分が強いと思えました」。キックボクシングラストマッチを会心の勝利で飾り、5万6399人の歴史の生き証人に、神童の全てを焼き付けた。今後のことを問われ「今は休みたい」とかわしたが、華麗なる転身の先には、さらなるビッグニュースが待っているはずだ。

 【天心と武尊の歩み】

 ☆15年11月21日 K―1の大会で55キロ級王座を防衛した武尊に、客席で観戦していた那須川が花道に歩み寄って対戦を直訴。

 ☆17年12月31日 RIZINワンナイトトーナメントで優勝した那須川が試合後に「皆さん誰との試合が見たいですか」と問いかけファンが「武尊」と返答。「この歓声が答えだと思いますので来年やりましょう」

 ☆20年12月31日 武尊がRIZINの会場で那須川の試合を観戦。

 ☆21年3月28日 那須川が見守る前で武尊が衝撃のKO勝ち。武尊は「天心選手と最高の舞台で最高の試合をやりたいと思っている」と呼びかけた。

 ☆同年12月24日 22年6月に中立のリングでの試合実施を発表。那須川は「ディズニーとUSJ。やっと交わる」

 ☆同年12月31日 那須川がRIZIN卒業試合。試合後に武尊がリングに上がり「日本格闘技界最高の試合をして勝ちます」と勝利宣言。

 【那須川 天心(なすかわ・てんしん)】

 ☆生まれ 1998年(平10)8月18日生まれ、千葉県松戸市出身の23歳

 ☆身長 1メートル65

 ☆所属 TARGET/Cygames

 ☆競技歴 5歳で極真空手を始め、小5でジュニア世界大会優勝。小6でキックボクシングに転向。14年7月、RISEでプロデビュー

 ☆戦績 キックボクシング42戦42勝28KO無敗。総合格闘技4戦4勝3KO無敗。ミックスルール1戦1勝1KO

 ☆主なタイトル RISE世界フェザー級王者

 ☆入場曲 止まらないHa~Ha/矢沢永吉

 ☆趣味 銭湯に行くこと

 ☆ニックネーム 神童

 ▽K―1とRISE K―1は正道会館の石井和義館長が「打撃系立ち技格闘技の世界一を決める大会」として93年に創設。RISEはキックボクシング興行の一つ「Real Impact Sports Entertainment」の略で、伊藤隆代表らが03年創設。09年に協力関係を結び、RISEがK―1大会に選手を供給、ルールもK―1仕様に変更したが、14年のK―1新体制後は関係が悪化。選手が団体間の対戦を希望するような発言もタブー視されるようになっていた。

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