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【亀田興毅 6・22那須川天心戦への思い(上)】最高のコンディションで「力の差見せつける」

[ 2019年6月19日 16:30 ]

那須川天心戦に向けトレーニングする亀田興毅氏
Photo By スポニチ

 22日にキックボクシングの“神童”那須川天心(20=TARGET/Cygames)と「AbemaTV3周年記念1000万円シリーズスペシャルマッチ」(後7・00~、AbemaTV SPECIAL2チャンネルで生放送)で対戦するボクシング元世界3階級王者の亀田興毅氏(32)が、決戦を目前にスポニチアネックスのインタビューに応じ“最後の闘い”への決意を語った。引退から約1年。なぜ今回のオファーを受けたのか、格闘技界の次代を担う那須川に対する思いとは――。3回にわたり連載する。

 ――今回の試合が決まってから周囲の反応は?

 「身内は賛成ではなかった。それ以外の人たちは『面白いな~』って感じでしたね」

 ――対戦発表会見では、家族に止められたと発言していましたが。

 「基本的に嫁は自分が決めることに関しては何も言わないです。ただ、そのほか親父を含めて大毅、和毅などは賛成ではなかった。むしろ反対派でしたね」

 ――反対の理由とは?

 「引退してから期間も長い。そして引退後の自分の生活面も知っているので、リングに上がるのは賛成できないということでした」

 ――引退後を見ているからこその「反対」。

 「やっぱり、そうなりますよね。トレーニングは何もしてない。アルコールも付き合いで毎日のように飲んでましたから。そういう食生活を送っている人間が、これからピークを迎える選手と戦うというのは、あまり良くないということでしたね。あとは今まで亀田興毅が積み上げてきたものを簡単に失う可能性があるから、あまり賛成はできないという声が多かったですよね」

 ――その中でなぜ今回のオファーを受けようと思ったのですか?

 「自分の中でも色々と考えましたよ。世間にはもう引退してもうリングに上がることはないと言ってましたけど、まだもう1回戦いたいという気持ち、自分の中で0・1%ぐらいどこかに“ファイター亀田興毅”というのが残っていたんでしょうね」

 ――オファーはいつごろだった?

 「5月の『那須川天心にボクシングで勝ったら1000万円』の挑戦者決定トーナメントを見た感想をSNSに書いた後ぐらいでしたね」

 ――即答だったのでしょうか?

 「いや、まずはトレーニング期間などを計算して、この期間でどのぐらいのレベルまで持っていけるのかをトレーナーと相談しました。プログラムを組んでギリギリって感じだったんで『じゃあ、やろう』となった。ギリギリってことは、頑張ればできるってことですからね」

 ――客観的に自分を見て、今回の試合は辞めた方がいいとも思ったとか。

 「はい。でも、引き受けたからにはそれなりの試合をしないといけない。自分もボクサーというものに誇りを持っている。そして、ボクシング界を勝手ながら背負ってリングに上がるわけだからね。ボクシングというものに失礼がないよう、今できる最高のコンディションに仕上げて、力の違いを見せつけます。『やっぱりボクシングの世界チャンピオンは強い』というところを見せられたらいいなと思います」

 ――那須川選手にはどのような印象を持っていますか?

 「すごく格闘技が好きなんだなと思いますね」

 ――5月の「那須川天心にボクシングで勝ったら1000万円」の戦いぶりを見て感じたことは?

 「それなりに出来てますよね。足の使い方も上手い。だからといって今すぐに世界チャンピオンになることは難しいと思う。彼らが戦っているキックボクシングの試合は3ラウンド。でも、ボクシングは世界タイトルマッチだと12ラウンド。そこの実力は3ラウンドの試合を見ただけでは測れない。けど、3ラウンドで戦うことに関しては、そこそこ高いレベルにあると思いますね」

 ――警戒するところは?

 「一番は体重差ですかね。自分のイメージと、いざ対峙した時のパワー差をどう感じるかなと。天心選手は今57キロで戦っているのでボクシングだとフェザー級ですけど、俺はフェザー級の選手と戦ったことないですからね(苦笑)」

 ――スパーリングでもフェザー級の選手とはない?

 「なかったですね。自分はスーパーフライ級やバンタム級で戦っていたから、その上のスーパーバンタム級だと今の和毅やけど、和毅でも大きいと感じるからね。今回はボクシングの階級で言えばフェザー級からスーパーフェザー級ぐらいの体重で対戦になると思うけど、スーパーフェザー級ってなったら内山(高志)選手ですからね。内山選手と自分なんか戦わないでしょ。戦ったら死にますよ(笑い)」

 ――それが階級の差。

 「簡単に言えば天心選手がメイウェザーと戦った時の体格差ですよ。なので一番気にするところと言えば体格差。それ以外で気にするところはないです」

 ――亀田選手も若い時からプロとして活躍し世間からも注目されていましたが、同じように若くから活躍する那須川選手をどのように見ていましたか?

 「自分たちは世の中から嫌われていましたから(苦笑)、自分たちの時とは違いますよね。彼は好青年だし、真面目で格闘技のことを愛していて『僕は強い奴と戦います』って感じですよね。今のボクシングで言えば井上尚弥選手のような。そういう選手たちがたくさん出てきて、格闘技界全体が盛り上がればいいと思いますよ」

 ――那須川選手とは年齢が一回り違う。3人の息子の父親として、今回、カッコイイ姿を見せたいという思いはありますか?

 「正直、その辺はあんまり考えてないんですよね。自分がやっていることは、あまり子供には見せたくなかったから、子供が物心つく前に引退したかったんですよ。ちょっとミステリアスな感じで『お父さんは何をやっているんだろう?』ぐらいの方がいいじゃないですか。でも、長男が小学1年生で、次男も自分が何をしていたかぐらいは分かっているので、最後に3人の息子たちに戦っている姿を見せてもいいのかなと思う気持ちもありますけどね」

 ――事前の勝敗予想では、およそ6対4で那須川選手優位とみているというデータがありますが、どう思いますか?

 「いいと思いますよ。いろいろな意見が出て盛り上がればいいなと思います」

 ――当然、この下馬評を覆したいという気持ちがある。

 「あんまりそういうことは考えてないです。それはあくまでも世間の意見。自分はやるべきことをやって戦うだけですからね。みんなにはもっともっと想像してほしいですね。自分も今まで長いことボクシングをやってきたので、それなりのものは提供できると思いますから」 (続く)

 ◆亀田 興毅(かめだ・こうき)1986年(昭61)11月17日生まれ、大阪府出身の32歳。2003年12月プロボクサーデビュー。06年8月WBA世界ライトフライ級王者を獲得。09年11月WBC世界フライ級王者を獲得し2階級制覇。10年12月WBA世界バンタム級王者を獲得し3階級制覇を達成。15年10月に現役引退も、18年1月「AbemaTV新春ボクシング祭り!亀田一家人生を賭けた3大勝負」の番組内で現役復帰を宣言。同4月非公式戦ながらポンサクレック・ウォンジョンカムに勝利。同11月に2度目の現役引退。プライベートでは12年3月に結婚。3児の父親でもある。

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