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恒成 初防衛に成功!“宿命”の日本人対決制し「田口選手と試合ができて光栄」

[ 2019年3月17日 05:30 ]

WBO世界フライ級タイトルマッチ12回戦   〇王者・田中恒成 判定3―0 同級4位・田口良一● ( 2019年3月16日    岐阜メモリアルセンター )

<WBO世界フライ級タイトルマッチ>10R、田口良一(左)に右ストレートをヒットさせる田中恒成(撮影・後藤 大輝)
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 WBO世界フライ級王者の田中恒成が挑戦者で元世界ライトフライ級統一王者の田口良一を3―0の判定で退け、同級で初の防衛に成功した。17年から互いに熱望してきた対戦で、ジャッジ全員が6ポイント以上の差をつける完勝。世界3階級制覇王者が地元岐阜で平成最後の国内世界戦を制した。

 田中は勝利を確信していた。それでも最終12回、それまでリングを支配し続けた足を、あえて止めた。2年分の魂と魂がぶつかりあった。

 「思い切り打ち合うため。オレもそんな気持ちでした」

 ゴングが鳴り終わると田中は、リング中央で挑戦者と抱き合った。試合直後も、特別な相手への敬意が自然と口をついた。

 「田口選手に感謝です。試合ができて光栄ですし、強くなれました。ありがとうございました。年間最高試合の候補に挙げてもいいんじゃないですか」

 序盤から切れ味鋭い左ボディー、左アッパーが次々に田口を捉えた。ガードが下がったところで、右ストレートが決まる。終始、攻め続けた。

 危なかったのは3回に左を浴び、一瞬ぐらついたときくらい。117―111が2人。残る1人は119―109。ジャッジがそろって田中が不利と判断したのは、9回だけ。完勝だ。

 17年夏。当時、WBO世界ライトフライ級王者の田中と、WBA同級王者だった田口との間で年内統一戦が浮上。日本人同士の2団体統一戦は、お互いに望むところだった。

 しかし、田中が9月の試合で両目眼窩(がんか)底骨折。統一戦は白紙撤回となった。田中は上京して田口に直接謝罪した。その後は田口が王座から転落。それでも、2人は闘う宿命にあった。2年を経て1つ上の階級で実現した対決だった。

 次戦も現王座の防衛戦になることが既定路線だ。それ以降は4階級制覇も視野に入れる。スーパーフライ級のターゲットの一人は元世界3階級制覇王者の井岡一翔。田中は「1階級上のトップ選手。(存在は)頭にあります」と興味を示す。

 平成となって47戦目となった国内所属選手同士の世界戦。そのラストにふさわしい内容で飾った王者は「もう次を向いてやるだけです」と言った。父でもある田中斉トレーナーは「倒せるチャンスは何度もあった」とさらなる向上を求める。王者は感傷を振りほどき、新時代へ目を向けた。

 ◇田中 恒成(たなか・こうせい)1995年(平7)6月15日生まれ、岐阜県多治見市出身の23歳。小5からボクシングを始め、中京高で高校4冠。高3で畑中ジムへ入門。同年11月プロデビュー。15年5月にWBO世界ミニマム級王座を獲得。16年にライトフライ級に転向し12月に2階級制覇。18年9月、木村翔を破って同フライ級王座を獲得し、世界最速タイの12戦目で3階級制覇を達成。1メートル64。右ボクサーファイター。

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