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尚弥 世界戦日本人最速!70秒KO、2発瞬殺V1&初戦突破

[ 2018年10月8日 05:30 ]

ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ ▽バンタム級T1回戦&WBA世界バンタム級タイトルマッチ   ○王者・井上尚弥 KO1回1分10秒 同級4位フアンカルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)● ( 2018年10月7日    横浜アリーナ )

WBSSバンタム級1回戦・WBA世界バンタム級タイトルマッチ 1回、パヤノ(下)を倒した井上尚弥。KO勝ちで初防衛に成功
Photo By 共同

 世界を驚がくさせる70秒KOで、井上尚弥(25=大橋)がワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)初戦を突破した。ワンツーの2発だけで元WBA同級スーパー王者フアンカルロス・パヤノ(34=ドミニカ共和国)を、日本人世界戦最速記録となる1回1分10秒でKO勝ち。世界戦で7試合連続KO、通算11度のKO勝利も日本新という記録ずくめで、来春予定のWBSS準決勝へ駒を進めた。

 1回のワンツーだけで試合を終わらせた。低い姿勢でボディーを伸ばしてきたパヤノとの距離を確認すると、井上はストレート並みの強い左ジャブで顔をはね上げ、さらに右ストレートを顔面へ。仰向けに倒れたパヤノは大の字のまま起き上がれなかった。「いや、もう最高です。手応えも、物凄く拳に伝わってきた。この一撃で終わったと思った」。1万人の大観衆から降り注ぐ「ナオヤ」コールに表情が緩んだ。

 最後のパンチについて問われた井上は「最初のパンチでもあるけど」とおどけた。偶然ではなく狙っていた。直線的に懐に入ってくるパヤノの癖を映像で確認。「ジャブを相手の内側から入れて、目くらましというか死角をつくってからの右ストレート。結構、練習していた」。大橋ジムの大橋秀行会長は「練習を見ていたので1回KOは当然と思った」と真面目な表情。この試合最初に放ち、空振りした右アッパーのタイミングに「これは(終わるのは)早いと確信した」と明かした。

 WBA世界バンタム級王座を獲得する前の4月の熱海合宿。井上は「WBSSが決まったら絶対に出ます。しっかり書いてくださいね」と訴えた。標的だった元4階級制覇王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア、帝拳)の王座陥落と減量苦で階級を変更した井上に対し、海外では「スーパーフライ級の強豪と戦わないで逃げた」という声が出た。実際には強すぎて対戦を断られ続け、統一戦も他団体王者全員が断固拒否。WBSS開催の話が出ていたバンタム級へ向かうのは当然だった。「自分が凄く望んでいた大会。バンタム級最強を証明したい」。練習では1ラウンドごとに内容を求め、9キロの減量も通常より1週間以上速いペースで進めた。10日前には残り1・5キロまで落ち「ヤバいぐらい絶好調」のコンディションをつくり上げていた。

 バンタム級での実力を試されるはずだったWBSSで、世界王者と元世界王者を続けて1回で沈めた。「2試合続けて倒しているということは、パンチ力と切れはバンタム級でもフィットしたということ」。もう誰にも逃げたとは言わせない。準決勝と決勝を戦うよりも前に、井上は結果と内容でバンタム級最強を証明した。

 ◆井上 尚弥(いのうえ・なおや)1993年(平5)4月10日生まれ、神奈川県座間市出身の25歳。新磯高(現相模原青陵高)時代に高校7冠などアマ通算81戦75勝(48KO・RSC)6敗。12年10月プロデビュー。14年4月にプロ6戦目でWBC世界ライトフライ級王座獲得。同12月にWBO世界スーパーフライ級王座を獲得し、当時世界最速の8戦目で2階級制覇。18年5月、マクドネル(英国)に1回TKO勝ちして16戦目で3階級制覇達成。身長1メートル65の右ボクサーファイター。家族は咲弥夫人と1男。

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