【高卒プロ見送った注目球児】滝川・新井瑛太が描く青写真 青学大でも投打二刀流追求して4年後ドラ1

[ 2025年12月4日 10:40 ]

滝川・新井瑛太

 スポニチでは「高卒プロを見送った注目球児」と題し、今秋ドラフトでプロ志望届を提出せずに進学、就職を選んだ高校球児たちの「今」に迫る。第1回は、投げては最速153キロ、打っても高校通算15本塁打の投打二刀流としてプロから高く評価された滝川(兵庫)の新井瑛太(3年)を直撃。青学大への進学を選んだ真意、高校野球引退後の取り組み、将来の展望などについて聞いた。(不定期連載)

【高卒プロを見送った注目球児】滝川・新井瑛太の4カ年計画 戦国・東都で鍛えてプロ入り目指す

 あの球児は今――。兵庫県神戸市にある滝川高校を訪ねると、目の前に現れたのは、髪が伸び、すっかり大人びた新井瑛太だった。

 「お久しぶりです。今から練習です」。身にまとう雰囲気が変わっても、礼儀正しい物腰と愛嬌のある笑顔は変わらない。高校野球引退後も練習を欠かしていないことは、その立ち居振る舞いと体つきからも見て取れた。この日も軽やかな足取りでウオーミングアップ、キャッチボールを終え、ブルペンへ。うなりを上げる剛球は、つい最近も「151キロが出ました」と事もなげに言う。投球練習の後は木製バットを使用した打撃練習に入り、快音も響かせた。プロ注目の投打二刀流球児だった男は、変わることなく、日進月歩の進化を図っていた。

 明石ボーイズでプレーした中学時代は身長1メートル60台の小柄な外野手だったが、中学野球引退後に体が急成長。高校1年秋に外野手から投手へ本格転向すると、2年春には150キロを計測して「プロ注目選手」に躍り出た。以降も順調に成長を続け、3年春にはU18日本代表候補合宿にも招集を受けた。そして投げては最速153キロ、打っても高校通算15本塁打の投打二刀流の逸材として今夏の兵庫大会に臨んだが、3回戦で伊丹北に敗戦。最後の夏は、あっけなく幕を閉じた。

 それでもプロの評価は依然、高かった。プロ志望届を提出すれば10月23日のドラフト会議で上位指名される可能性もあった。だが提出しなかった。以前から大学進学の意向を持っており、それを貫いた格好だ。とはいえ、その決断に葛藤はなかったのか…ストレートに疑問をぶつけると、新井は口を開いた。

 「全然、後悔はしていません。高卒からプロに行くメリットもデメリットもたくさんあると思いますけど、自分は大学に行って自分が経験できなかったことをしっかり学んで、ドラフト(指名されてプロ)1年生から、即戦力としていけるようにと考えています。自分の将来とか、のちのちを考えたときに、プロに行くことだけが目標ではなく、プロに行って活躍することが目標なので」

 ドラフトは一野球ファンとして視聴した。「見ました。自分が出していたら、どうなっていたかなというのは考えていました」。気になったのは同学年選手たちの動向だった。「(健大高崎)石垣選手とか(延岡学園)藤川選手が1位で行っていたので“凄いな”と思った半面、自分も負けていられないなとは思いました」。一足早くプロの世界に飛び込むライバルたちから、刺激も受け取った。

 だから新井は「プロに行って活躍する」ため、投打両面でレベルアップを図る日々を過ごす。高校野球を引退後も、毎日3~4時間の練習を継続中。加えて定期的にパーソナルトレーニングジムにも通い始め、自身に合った体の使い方を追い求めている。

 投手としては、課題の制球力向上に重点を置く。教材は自身と身長がほぼ同じ右腕だ。中日から1位指名を受けた青学大・中西聖輝の下半身の使い方を研究し、フォーム矯正に着手。「具体的には左足を上げてから着くまでのタイミングであったり、形が、投手だったら誰しも真似をするような、理想的な形なので。それに近づけていきたいと思っています。制球力アップにもつながると思います」と新境地開拓に励む。

 打者としては、「難しいです」と話す木製バットへの対応とともに、打撃スタイル更新に注力する。高校ではアベレージを持ち味としていたが、「どうしても長打力という部分がないと、上(のレベル)では通用しない」と飛距離アップの必要性を痛感。そのためにソフトバンク・近藤のティー打撃動画を見るなどし、メカニズムの研究にも余念はない。「ボールをバットのラインに乗せる。点で捉えるのではなく、線で捉えるというイメージですね。バットをできるだけ長い時間、ボールに当てる、乗せるみたいな感じ」と、そのイメージを表現する。

 「(大学でも)いずれは、二刀流という形で勝負していきたいと思っています。二刀流で、できるかぎり頑張っていきたいという思いです。(高校と同じように)野手でまずレギュラーになって、そこから投手をやらせてもらいつつ、最終的には両方やりたいと思います」

 進学先は、今秋の明治神宮大会で2連覇を達成し、今秋ドラフトで史上初となる3年連続で複数の1位指名選手も輩出した東都大学野球リーグの強豪・青学大に決まった。大学でも、投打二刀流のプレースタイルは継続する方針。そして4年後には、投手としても野手としても1位評価を得て、プロ入り――。新井は、その脳裏にクリアな青写真を描きつつ、次のステージへと挑む。(惟任 貴信)


 ◇新井 瑛太(あらい・えいた)2007年(平19)10月26日、兵庫県神戸市出身。小1から小束山少年団野球部で野球を始め、主に外野手。中学では明石ボーイズに所属。滝川(兵庫)では1年夏から背番号9でベンチ入りし、同秋から投手に本格転向。2年秋から背番号1。3年夏は兵庫大会3回戦で伊丹北に敗れる。甲子園出場経験なし。高校通算15本塁打。50メートル走6秒2、遠投100メートル。1メートル80、82キロ。右投げ左打ち。

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