元中日内野手の石川駿さん「投球障害」テーマに学会で発表 「在野」の精神で野球界に貢献

[ 2025年10月17日 07:30 ]

学会で研究発表を行う石川駿さん
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 持ち時間は一人約10分。元中日内野手の石川駿さん(35)は、現役時代のグラウンドとは違う緊張感を味わっていた。

 「まさか自分が学会で発表するとは思っていませんでしたから」。9月17日、滋賀県草津市の立命大で行われた「第79回日本体力医学会大会」で石川さんは自身の研究発表を行った。テーマは「繰り返されるバッティング動作が肘関節の形態や機能に与える影響」。エクセルやパワーポイントで自ら資料のスライドを16枚作成して壇上に立った。

 石川さんは自身の野球人生を振り返り、「理由」を探す旅に出た。中日には6年間在籍したが満足な成績を残せず。15年の1年目から腰痛、肋骨骨折など度重なる故障に苦しんだ。「何が原因でそうなったのか。その理由、答えがが知りたかった。休まずに無理してケガばかり。今では防げるケガだったと思います」。引退後に3年間かけて柔道整復師の資格を取得。同時に「もう少し勉強をしないと」と、順大大学院スポーツ健康科学部に入学した。

 研究テーマは「投球障害」。肘の障害といえば投手をイメージしがちだが、石川さんは「打者がバットを振るという動作も肘の関節に負荷がかかるのではないか」と自身が野手だった経験、視点で新たなアプローチを試みた。大学生を被験者にデータなどを積み上げ、右打ちなら左肘、左打ちなら右肘に多くの負担がかかっていることが分かった。それを論文にまとめ、今回の学会で発表した。

 「投手は投球制限がありますが、バットは誰もが繰り返し振っています。その動作が肘への負担になることを指導者、保護者にも理解してもらえれば」と石川さん。「ケガを理由に野球をやめている小中学生はたくさんいる。そういう子を少しでも減らして、守りたい。ケガをしないことが、一番のパフォーマンス向上だと思います」と今後も自身の研究を通じて啓蒙活動に取り組みたい意向を強く持っている。

 「野球の現場だけが、野球界への貢献ではないと思っています」。いずれかの球団に所属するなどしなくても、「在野」の精神で少しでも野球界が良くなるように活動する。もちろん、さらなる研究にも意欲満々で「他の方の論文を見たりするのは本当に面白い。自分ももっともっと広く、かつ信憑性の伴った発表をしていきたい」と力を込めた。(記者コラム・鈴木 勝巳)

 ◇石川 駿(いしかわ・しゅん)1990年(平2)5月26日生まれ、滋賀県出身の35歳。滋賀・北大津から明大、JX―ENEOSを経て14年ドラフト4位で中日に入団。16年6月8日のオリックス戦でプロ初出場。20年限りで現役を引退した。通算成績は31試合で打率・244、1本塁打、6打点。引退後は学生野球資格を回復し、柔道整復師の資格も取得。東邦、国士舘大などでコーチも務めた。

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