なぜ「市船ソウル」が人の心を揺り動かすのか…吹奏楽部がYOSAKOIを踊る理由

[ 2025年7月11日 18:02 ]

YOSAKOIを踊ることで市立船橋吹奏楽部は想定を超える成長を遂げた
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 【君島圭介のスポーツと人間】

市立船橋 圧巻のパフォーマンス動画こちら

 球場の空気を変える。市立船橋の「市船ソウル」にはそんな力がある。智弁和歌山のジョックロック、習志野のレッツゴー習志野…。短いテーマの繰り返しが、選手のみならず聴くものすべての心を揺り動かす。市立船橋吹奏楽部が奏でるチャンステーマもそんな魔力を秘めている。

 野球部、サッカー部、体操部、陸上部、バスケ部…部活動のレベルは全国屈指の市立船橋の中で「吹奏楽部を誇りに思う」という生徒は多い。

 現在130人を超える吹奏楽部員の練習時間、活動範囲、熱量は校内一かもしれない。

 ただ、最初から強豪だったわけではない。現顧問の高橋健一先生は赴任した約25年前を思い返し、「指導者もいない中、部員の空気はどんよりしていた」と明かした。

 高橋先生は「子どもたちが悪いわけではない」と言う。

 キラキラ輝く市船部活生に囲まれ、自らチャンスを探し出して掴むには3年間という高校生活は短すぎた。

 そんな吹奏楽部員の殻を壊すため、高橋先生は楽器をケースに一度戻し、YOSAKOIを踊ることを勧めた。

 そして毎年、札幌市で開催される「YOSAKOIソーラン祭り」に参加を始める。

 どうして吹奏楽部が踊るの?演舞することで、音楽を表現する力を身につけることが目的と言われても…、当初は部員も懐疑的だった。

 最初の3年間は船橋市のよさこいチームと合同で参加。4年目から市立船橋高校単独で参加し、2025年で22回目を迎えた。

 彼らは殻を破れたのだろうか?

 高橋先生は「想定をはるかに超えてきました」と笑った。

 今ではオリジナルの音源に振り付け師の指導を受けた圧巻のパフォーマンスが完成している。そのパフォーマンスは圧巻だ。

 4月から6月までYOSAKOIをメーンに活動し、夏にかけてコンクールと野球応援、他にもマーチング、定期演奏会、セリフなしで演奏と踊りだけで舞台を演じる「吹劇」など、これでもかというほど吹奏楽部のスケジュールは詰まっている。

 130人を超える部をまとめる伊藤颯来(さな)部長(3年)は「大変ですけど家族より長い時間を一緒にいるから通じ合える。毎日が楽しい」と笑顔を輝かせる。

 何をしていいかわからず殻をつくっていたかつての吹奏楽部は生まれ変わった。しかも、とんでもないモンスターに…。

 3年生は12月の定期演奏会まで引退せず、全力で駆け抜ける。3年間が1秒も無駄に出来ないほど一瞬で過ぎてしまうことを知っているし、その一瞬は永遠に残ることも知っている。

 「青春は一瞬で一生!」。それが今の市立船橋吹奏楽部のテーマだ。彼らの踊るYOSAKOI、彼らの奏でる市船ソウルに心を揺さぶられないはずがない。(専門委員)

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