【内田雅也の追球】本当の勝負は6月から

[ 2025年6月2日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神8―0広島 ( 2025年6月1日    マツダスタジアム )

<広・神>勝利し、ナインを迎える(手前左から)湯浅、及川、伊原、藤川監督 (撮影・須田 麻祐子)
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 途中、追加点が取れなかったのはあるが、ほぼ文句なしの快勝である。森下翔太が初回に先制2ラン、伊原陵人が7回途中まで好投し、湯浅京己が好救援、佐藤輝明に3ランも出た。

 3、4番のアベック弾に新人投手の快投、零封リレーも完成させた。試合後、マツダスタジアムの三塁側ベンチ裏はお祭り騒ぎのように歓声がわきあがった。

 これで貯金10である。前監督、現オーナー付顧問の岡田彰布がテレビ解説で語っていた「交流戦まで貯金10個はほしい」というノルマを達したことになる。

 ただし、勝負はこれからである。何もこの日の快勝や今の好調に水を差すつもりは全くない。本当の勝負はこれからだと手綱を締めたい。

 監督・藤川球児もわかっているのだろう。試合後「今はまだ振り返れる要素はないですね」と冷静だった。「これからの交流戦のことばかりに頭はいってます」

 6月に入った。アメリカの米コラムニスト、ロジャー・エンジェルが<野球が本当にはじまるのは六月だ>と書いている=『憧れの大リーガーたち』(集英社文庫)=。<ただ天気がよくて、試合の経過を目と耳にするだけではすまなくなってくる。六月ともなると、あまり気のないセミ・ファンでさえ順位に目を向けはじめ><四月の壮大なのぞみを一部そっと取り下げる>。

 各チームの力量が見えてくるのが6月なのだ。阪神、そして阪神ファンは大いなる希望を持って6月を迎えられた。そして藤川はこれまで「4月5月はチームを作っていく時期」と6月からの勝負を見すえている。

 リーグ優勝を果たした一昨年の6月1日を思いだす。すでに交流戦に突入し、西武戦(ベルーナ)に敗れた。岡田は敗戦後「ずるずるいくよ。このまま負け続けるぞ」と言った。当時貯金16、2位に5ゲーム差をつけながら警告を発している。

 先のエンジェルは大リーグの名フロントマン、サンディ・アルダーソンの話を書いている。「悲しい話だが、どの試合を最後に勝てなくなってしまうのか、結局どの試合がシーズンの頂点だったのかは決してわからないというのが現実なんだ」。ペナントレースは「一寸先は闇」である。だから「常に浮かれ過ぎず、落ち込み過ぎぬよう、平常心を保てということだ」。警句として覚えておきたい。 =敬称略=
 (編集委員)

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