“一発よりも率” 阪神・井上は指揮官望む「3番道」進む 「まずはヒットを積み重ねることが大事」

[ 2024年5月14日 05:15 ]

阪神・井上
Photo By スポニチ

 阪神・井上広大外野手(22)が、岡田彰布監督(66)が求める「3番道」を進む決意を示した。14日からの中日3連戦で、持ち味の長打力だけでなく、打率とチームバッティングも実現することで、レギュラー定着と主軸を狙う。チームは13日に横浜から豊橋へ移動。昨季14安打9得点を奪った猛虎の“パワースポット”で貧打解消と首位堅持への道を突き進む。

 昨年までのプロ4年間で苦い思いを散々してきた井上は地に足が着いていた。10日の初昇格後3試合連続安打を放ち、その間の2勝1敗の成績に貢献しても、浮かれることはない。スタメンにとどまるための条件は、持ち味の長打力ではないと自分に言い聞かせた。

 「まずはヒットを積み重ねることが大事。四球を取ることだったり、状況によっては自己犠牲も大事。そういうものを大切にしていきたい」

 14日に開催される中日戦の舞台、豊橋に到着した22歳のスラッガーは、そう気持ちを引き締めた。両翼93メートル、中堅115メートルのコンパクトサイズで、プロ初アーチが望める球場であっても、色気を全く見せなかった。

 その1時間前、岡田監督は横浜市内で、36試合を終えても一向に固まらない主軸の一部打順を嘆いていた。特に3番がネック。打順別打率で、投手が入る9番を除いて、7番の・176に次いで低い・206。今季5人が座り、12日のDeNA戦(横浜)では近本を置いた悩みの打順を「コロコロ変えたくないからな」と漏らし、「3番は打率がないとな。つなぎもいるからな。本当は一発よりも率やで」と理想を口にした。

 偶然とはいえ、井上が目指す打撃スタイルは、指揮官が求める3番像と合致。確実性が増せば、3試合で5番→6番→1番を任された1メートル89、100キロの大砲がこの先、3番を手にする可能性はある。ただし、現状は与えられた役割を全うすることに必死だ。

 「ランナーがいない時は塁に出ることが大事。ランナーがいれば、どうやって得点を取るかが、何番を打っても大事。打順より、塁に出なかったら出る、塁に走者がいたら還すことを大事にしたい」

 打線好調とはいえない猛虎にとって、豊橋開催は追い風かもしれない。昨年は14安打9得点で勝利して勢いづき、球団最多タイの月間19勝を挙げた5月の快進撃に一役買った。今季もこの“パワースポット”で各打者が奮起すれば、2位巨人にわずか0・5差の首位を守ることにつながる。ラッキーボーイになりつつある井上が活躍すれば、それもまた首位固めの追い風になる。 (倉世古 洋平)

続きを表示

この記事のフォト

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2024年5月14日のニュース