阪神・岡田監督 球団20年ぶり正力賞「めちゃ光栄よ」生え抜き中心で日本一、四球獲得重視の戦略評価

[ 2023年11月15日 05:15 ]

阪神・岡田監督
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 今季のプロ野球の発展に最も貢献した監督や選手に贈られる「正力松太郎賞」の選考委員会が14日、都内で行われ、阪神を38年ぶり2度目の日本一に導いた岡田彰布監督(65)が初受賞した。球団では03年の故星野仙一氏以来、20年ぶり3人目。個人としての栄えある賞にも指揮官は歴代監督や力をつけた選手、ドラフト戦略などの編成など“みんなの賞”であることを強調し日本一をかみしめた。また、3月のWBCで侍ジャパン監督として世界一に輝いた栗山英樹氏(62)、日本選手で初めて大リーグで本塁打王を獲得した大谷翔平投手(29=エンゼルスからFA)が特別賞に決まった。

 球団では吉田義男、星野仙一以来3人目の栄誉に岡田監督は珍しく喜びを露わにした。

 「うれしいよ。そんなの、初めてやし。なかなか、もらえるもんちゃうやろ。みんなから選考で選ばれるということは。1年に1人やろ?めちゃ光栄よ」

 開幕前に年俸の査定アップを決めるなど四球獲得を重視した戦略や、二塁・中野のコンバート成功、助っ人に頼らない生え抜き中心のチーム編成などが評価され、出席した選考委員4人の満場一致により、決定した。

 リーグ優勝を言い換えた「アレ」もチーム内外で浸透。「まあ、アレのインパクトもあったんやろな。影響力ていうかな。まあ“アレ”で良かったなあ」と旋風を巻き起こした「アレ」の効果に頬も緩む。3月のワールド・ベースボール・クラシックで侍ジャパンをけん引した「世界一の大谷」も候補に挙がる中、「日本一の岡田監督」が選出された。

 その手腕、采配、野球観が評価されての受賞ながら、当人が焦点を当てたのは、現チームが出来上がるまでの過程だ。現在の主力選手をドラフトで獲得したスカウトをはじめとした編成部門など、フロントを含めた“みんな”で勝ち取った賞であることを強調した。

 「全員生え抜きやからな。チームを預かった者の編成だけじゃなしにな、それは全部。フロントとか編成、スカウトの(仕事の)結果やからな。FA(補強)とかなしで、(日本一を)勝ち取って、賞をもらえたのは現場だけじゃないよ。みんなの毎年の積み重ね」

 現役最年長監督は現場、裏方も含めて球界のモデルケースとなるような理想の集団を率いたことの実感を言葉にこめ、続けた。

 「(理想は)ホームランの魅力とかな。でも打てないもんに打て言うてもしゃあない。こういうふうにやった方がチームは活気づいて勝てるっていうかね。それにはホームランは入ってないよな、うちのチームには」。最後は原動力でもある勝利への執念を行間に、にじませた。(遠藤 礼)

≪選考過程≫
 欠席した王貞治委員を除く4氏の満場一致で岡田監督の受賞が決まった。高田繁委員はFA補強や外国人選手に頼らず、生え抜きの選手中心に日本一を勝ち取った手腕を評価。辻発彦委員は「四球に対する価値観を選手に植え付けたのが大きい」などと評した。

 山本浩二座長も「内野手出身で緻密な野球。四球を重視する野球は最近はあまりない」と絶賛。同時に「3年連続の投手4冠は正力賞に十分に値する」とオリックス・山本も候補に挙げた。過去に2人同時受賞は3度あるが今回は議論の結果、岡田監督に決まった。

 栗山氏と大谷は「師弟」で特別賞。WBCでは米国との決勝での大谷VSトラウトなど、門田隆将委員は「(采配が)何から何まで凄かった」。選考委でも当時の話題で盛り上がったという。大谷はWBCでの活躍に加え、日本選手初の本塁打王が高く評価された。

 ▽正力松太郎賞 日本のプロ野球の発展に大きな功績を残した故正力松太郎を記念し、1977年に制定された。プロ野球界に貢献した監督、コーチ、選手、審判員を対象に選考委員会が選出する。賞金500万円。受賞者は日本一に輝いた監督が多い。第1回の受賞者は同年に世界記録の756号本塁打を放った王貞治(巨人)。

 ▽正力賞選考委員 山本浩二(座長=野球評論家)、王貞治(ソフトバンク球団会長兼特別チームアドバイザー、欠席)、高田繁(野球評論家)、辻発彦(野球評論家)、門田隆将(作家)=敬称略、順不同=

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