【トライアウト】元西武・多和田 自律神経失調症乗り越え「メンタル的には元気」 NPB復帰への思い吐露

[ 2023年11月15日 15:11 ]

<NPBトライアウト>シート打撃で、力投する六花亭・多和田(撮影・久冨木 修)
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 プロ野球の12球団合同トライアウトが15日、鎌ケ谷スタジアムで行われ、元西武で16年パ・リーグ最多勝投手の多和田真三郎投手(30)が2年ぶりに参加。シート打撃に登板した。

 1人目の佐藤優悟は143キロで中飛、2人目のソフトバンク・居谷匠真にスライダーから入り、最後は外角直球で見逃し三振に仕留めた。3人目は福田秀平とマッチアップ。直球とスライダーを織り交ぜ、四球として14球を投げ終えた。降板後は目を潤ませ、鼻をすすって感無量の表情だった。

 「2年前と違って元気な姿を見せられたかなと思います」と万感の様子。硬式球は「六花亭っていう会社で働かせていただいて、そこで7、8時間しっかり仕事してからの練習なので…硬式はあまり練習する時間なかったですけど。4回目、5回目という感じでした」と仕事しながらのチャレンジだったと明かした。

 「まだ100%までいってないですけど、まずは元気な姿を見せられて良かった」と述べた。

 多和田は18年に16勝を挙げ、最多勝を獲得したが19年シーズン中に自律神経失調症でチームを離脱。21年は育成選手として再起を目指したが自由契約となり、同年トライアウトに参加した。その後、北海道の軟式野球チーム「六花亭」でプレーしている。この日もチームのグレーのユニホーム姿で登板した。

 「六花亭」は北海道の有名菓子店。富士大時代の恩師・青木久典氏が監督を務めており、「六花亭に入った時、恩師とかと話して、戻ることを第一に考えてやっていこう。体を元気にしていこうという話をしていた。時期は去年か今年受けようと。2年間かけて今日いけると思った」とし、「メンタル的には元気になりました」と語った。

 仕事との両立で「11月入ってからブルペン投げたの4、5回くらい。最初の1、2回は全部抜けて。暴投して、大丈夫かなと。それよりは元気な姿を見せようと」と振り返った。

 昨年も受験のチャンスはあったが、「六花亭でやらせていただいてるので」と軟式野球部でのプレーに専念した。

 会社員としての生活は「お菓子作りとかいろんなことを学ばせてもらっています。これから工場とかに入ることもあるかと思います」とし、「2年間、考えさせられた。2年前ならプロ野球選手として恥ずかしいとか自覚が足りないって思ってた。やっと社会人のしっかりした人になれたかなと思います」と心身ともに前進できた。「恩師である青木さんのところにいって、すごく怒られることもありますし、一般の人として教わって、良くなってきた所も教わって。そういった面で成長した。奥さんと子供がいるんですけど変わってきたねって言われるので、皆さんに感謝です」と家族にも感謝を述べた。

 NPB復帰への思いは強い。「軟式も硬式も試合の入りは気持ち変わらないが、やはりレベルの差は多少あるので高いレベルでやりたい」とし、「NPBに戻るためにトライアウト受けているので。まずはプロ戻ることだけを考えてやってきた。今はプロ一本で」と語った。

 今年のトライアウトには投手41人、野手18人が参加。過去1414人が参加し、77人が新たなチャンスを手にした。内訳は投手36人、内野手22人、捕手6人、外野手13人で“合格率”はわずか5%。スタンドには各球団のスカウト陣が集結し、日本ハム・稲葉GMも練習から熱視線を送った。

 シート打撃のルールは、投手1人が打者3人に対し、ボールカウントは1-1から投球する。同じ投手の登板時、アウトカウント・ランナーは加算。審判は2人制で行われる。

 広島・薮田和樹投手、オリックス・吉田凌投手、楽天・高田萌生投手、引地秀一郎投手、ヤクルト・吉田大喜投手、成田翔投手、ソフトバンク・高橋純平投手、阪神・高山俊外野手、DeNA・田中俊太内野手、田中健二朗投手、ロッテ・福田秀平外野手、西川僚祐外野手、中日・伊藤康祐外野手、日本ハム・井口和朋投手、立野和明投手、姫野優也投手、元ヤクルト・中山翔太外野手、元広島・山口翔投手、元日本ハム・高山優希投手らが参加した。

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