海の向こうで待った吉報…まさかの指名漏れ「すごく悔しかった」 米大学でプレーの甲子園V戦士・太刀岡蓮
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10月26日に行われたプロ野球ドラフト会議では、支配下・育成合わせて122人の選手が夢の扉を開いた。一方で、海の向こうで吉報を待ちながら名前が呼ばれず、再び来季に向けて歩み出した選手もいる。花咲徳栄出身で、現在NCAA(全米大学体育協会)1部に所属するサザン・インディアナ大でプレーする太刀岡蓮外野手(24)だ。現在の心境を明かした。
「自信を持ってドラフト会議当日は見ていました」。朝4時に起床し、会議の様子を見つめていたが、名前は呼ばれず「すごく悔しかった」。期待は落胆に変わった。「呼ばれなかったことで、まだまだ自分の実力が足りていないっていうのを一番感じました。今24歳で、年齢的なこともある。即戦力としてドラフト指名されるっていうのが目的だったので、まだまだ1軍の力に足りていないと」。プロのハードルの高さを目の当たりにした。渡米し、四年制大学に編入して2シーズンプレー。結果を出して手ごたえをつかみ、NPBからも調査書が届いていた。「まさか、日本の球団が自分のことを見てくださっているとは思っていなかった。まずそこは大きな進歩かなと思った」と振り返る。
左投げ左打ちで俊足が大きな武器。2017年夏の甲子園では足を生かし、1番打者として初の全国制覇に貢献した。「一番感じたのは、自分の実力以上にその名前が先走ってしまったと。そこまで実力がないのに自分の名前が売れてしまったっていう思いがあった」。周囲の期待や評価とかみ合わない自己分析に折り合いがつけられないまま、大学に進学。予想していた環境とのズレもあり、かねてから考えていたアメリカ行きを決めた。
強豪大学にいながらの決断は、そうたやすいことではなかったはずだが「野球人生、後悔はないように」。少年時代から憧れるマリナーズ・イチローさんを目指し、一歩を踏み出した。「アメリカの大学は8月から始まってしまう。自分の英語力を見ても4年制大学は無理だと。他の短大も8月から始まるので、やはりそこに間に合うタイミングで行かないと試合に出場できるロースターという枠に入れなくなってしまうんです」。そんな中、のちに入学することになる2年制大学・インディアンヒルズコミュニティカレッジは、11月からの入学希望者も受け入れていることがわかった。行先が定まった。大学中退後はクラブチーム・GXAスカイホークスに所属し「英語を教えてくださる先生がいて、そこで約3カ月ほど英語の勉強とクラブチームで野球をしながら」両立して準備を重ね、11月までに渡米にこぎつけた。
米国でのプレーでは、質の違いに驚いた。「環境は特に問題なかったんですけど、野球では例えばピッチャーは短期大学でも90マイル台、92マイル(約148キロ)投げるピッチャーがたくさんいて苦戦しました。あと変化球も、日本はかわす感じが多いんですが、アメリカはツーシームだったり、若干ボールをずらして打ち取るっていう感じが多かった」という。また、バットは金属ながら「木製より飛ばない造りになっていて。高校時代に使っていた金属バットとは全く別もの。芯に当たってもなんでこんなに飛ばないんだろうっていう感じが最初に受けました」と飛ばすパワーがなおさら必要だと痛感した。
渡米直後で苦戦続きの中、コロナ禍が直撃。シーズンも短縮されたが、逆に野球とじっくり向き合い、自分に合う打撃フォームを見つけることができた。「野球を学べたっていう点ではアメリカに来て良かったなと思います。ヒットを打ちたくて、当てるだけのバッティングと小手先だけのバッティングになってしまっていた。でも、アメリカに来てちゃんと振りながらコンタクトできるっていうバッティングを教えていただいたので、ホームラン数も増えました」と明らかな成果を感じた。「高校通算本塁打4本しか打ってないんです。でも短期大の時は2年生の時にシーズンで4本塁打。サマーリーグっていう夏だけ行われるリーグがあるんですが、そこでは3カ月で4本打ちました」。
成長の支えとなったのは「打撃練習もそうですし、コーチの方が練習にほぼ毎日付き合ってくれた。自分のバッティングを見てこう改善するべきだよ、とか、こうした方がいいよねっていうのを教えてくださったのですごく成長できた」。指導者が常駐し、客観的な評価に基づいた技術的なアドバイスや栄養、トレーニングなど細部にわたるフォローが充実していたという。
懸念だった英会話は、「最初の1カ月、2カ月、本当に何言ってるか聞き取れなくて…話す分にはいいんですが、聞き取れなかった」と苦笑。それでも「その都度聞き返したり。あと、日本人以外の留学生も結構いたので、コーチの方が分かりやすく伝えてくれたりしました」と乗り越えた。生活環境の日本とは激変したが、「自分の場合、特に食生活だったりとか、カルチャーショックみたいなのを受けたっていうのはない。自分がちょっと変わってるのかもしれないですけど、どこでも寝れたりとか、基本、好き嫌いがないので」と持ち前のタフさが功を奏した。
短大を終え、NCAA1部に所属する強豪のサザン・インディアナ大に編入。アメリカの大学野球は8月から1月まではオフシーズン。練習試合などと経て、2月から公式戦がスタートし、1シーズンが3、4カ月かけて行われる。昨季は出場48試合で打率.295をマーク。持ち前の俊足を生かし、チーム最多21盗塁、15試合でマルチ安打を記録。9試合連続安打を放つなど、22試合連続出塁を果たした。今季は55試合に出場し、大学1号を含む2本塁打をマーク。1試合4打点を挙げるなど打率・296でシーズンを終えた。
コロナの特例措置で野球部としては4年生扱いのため、来季に向けて再び戦いが始まっている。一方で、学業では4年生を終えて卒業した。「今、野球は4年生なんですけど、学習面では去年卒業してしまったので、MBA(経営学修士)の取得を目指しています。アメリカに来た時に比べて、ほぼコミュニケーションは問題なくできますが、やはり難しい言葉とか出てくると、授業内でもまだ英語足りてないと感じる時はあります」と野球を終えた後の将来も見据えている。
今夏、大リーグドラフト会議ではホワイトソックスから11巡目(全体329番目)でオレゴン大・西田陸浮(りくう)内野手(22)が指名された。東北高出身、身長1メートル68で俊足が最大の武器という西田の存在は、1メートル71・80キロで同じく俊足が売りの太刀岡にとっては大きなものだ。「やっぱり励みになりますし、ああいう有名なカンファレンスでプレーしている選手がいると改めてすごいなと感じます」。
佐々木麟太郎内野手が米国大学に留学を選択するなど、日本の高校生を取り巻く環境も変化してきた。「自分が高校生だった時よりは遥かに選択肢が増えたなと思う。ものすごくいいことだなっていう風に自分は感じています。野球選手はいつまでプレーできるかわからない。野球人生が終わった後にアメリカでしっかり勉強してればつぶしが利くというか、英語もできますし、学んでいた分野を続けて勉強することもできると思うので、そういう部分では日本の大学に行くよりもいいのではないかなと」と経験者ならではのメリットを語る。また、エンゼルス・大谷翔平投手に代表されるように多くの日本人選手が活躍することで「見る目は変わってきたと思います。佐々木君も来てくれるので、大学関係者からの日本人の見方っていうのも変わるんじゃないかなって」と語る。
日本人選手の活躍に奮い立つ一方、「本当に1年1年勝負しないと自分のいる大学でもクビを切られてしまう。夏から秋にかけて結果を残せなかったり、チームに必要ないなっていう子は、シーズン前にもう君いらないからっていう感じで切られる人もいます」と厳しい世界に身をさらし続けなければならない。「本当にずっと勝負してるっていう感じ。今は野球しかないですね。もう年も年なので覚悟決めて。アメリカに来たら本当に野球だけっていうのができるので、自分にとっては本当に最高の場所です」。熱意と覚悟を込めて最後のシーズンに挑もうとしている。
「やっぱり一番の目標は、自分の憧れであるイチロー選手のような選手になりたい。メジャーリーグやNPB、まだチャンスはあると思っているのでしっかり挑戦していきたい」。悔しさを糧に、夢をつかみに行く。
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