「俺にできることはストライクゾーンに投げることだけ」阪神・村上が藤浪の言葉を力に由伸に“雪辱”

[ 2023年10月29日 05:15 ]

SMBC日本シリーズ2023第1戦   阪神8ー0オリックス ( 2023年10月28日    京セラD )

阪神・村上
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 シンデレラ・ストーリーを紡いできた阪神・村上には、重圧を楽しむ余裕すらあった。第1戦の先発を託され、7回2安打無失点でセ・リーグの最優秀防御率投手の実力を発揮。投手4冠に輝いた同学年・山本との投げ合いを制し、交流戦で敗れた雪辱も果たした。

 「楽しむことができたのでよかった。交流戦で投げ合って負けていたので、リベンジしたいと思ってマウンドに上がった。(山本から)いい刺激をもらいながら投げられた」

 規定投球回に到達した投手ではリーグ最少タイの15四球。徹底してきたストライク勝負の重要性を、CSファイナルS初戦前日にクラブハウスで再会したオリオールズ・藤浪との会話で再確認した。

 「(メジャーでは)四球、四球じゃなくてヒット、ヒット、ホームランでも全然オッケー。それは向こうが良かっただけで、おまえは何も思わなくていいんだ、と」

 海を渡った大先輩からの極めてシンプルな言葉で強い緊張感は和らいだ。「俺にできることはストライクゾーンに投げることだけ。シンプルで、ごちゃごちゃ考えずにいい考えだな、と」。1球での決着を含めて初回先頭から打者14人連続で初球ストライクを投げ込むなど、打者23人に対して初球ボールは3人のみ。強みを最大限に発揮した。

 「(捕手の坂本とは)テンポよくいこうという話だった。初球のストライクを取れたのがよかった」

 2回に自己最速を1キロ更新する152キロで紅林を空振り三振に仕留めるなど、4回まで完全投球。今季初先発だった4月12日巨人戦での7回完全投球をほうふつとさせる投球で、二塁を踏ませたのは1度だけだった。

 新人を除いて前年まで未勝利で日本シリーズ第1戦に先発するのは21年のヤクルト・奥川以来2人目で、勝利投手になるのは初めて。「チームも勢いづくと思うし、明日からもいい形で入れると思う」。100球の快投で日本一への道を明るく照らし出した。(阪井 日向)

 ≪継投で初の無失点勝利≫
 シリーズで阪神の無失点勝利は、1962年東映第2戦で村山実(○5―0)、85年西武第1戦で池田親興(○3―0)が完封して以来3度目。継投では今回が初。

 ≪6月は8回2失点も敗戦投手に≫
 ▽村上と山本の前回投げ合い 6月13日の甲子園での交流戦で初の先発対決。村上は4回無死満塁で中川圭に先制の右前打を許し、7回にはゴンザレスに右越えソロを浴びて8回4安打2失点(自責点1)で敗戦投手。山本は8回2安打無失点で勝利投手。毎回11奪三振の快投で甲子園では初先発初勝利を飾った。

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