阪神・村上 99年上原以来の最優秀防御率&新人王あるぞ 決意強くした女房役・坂本からの言葉

[ 2023年9月26日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神1―2中日 ( 2023年9月25日    バンテリンD )

<中・神>力投する村上(撮影・須田 麻祐子)
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 阪神・村上頌樹投手(25)が25日、最優秀防御率の初タイトルを確実にした。中日戦を5回2失点で終えて3年目で初めて規定投球回に到達。防御率1・75でセ・リーグでは 唯一の1点台を維持した。レギュラーシーズン最終登板で6敗目こそついても、初の10勝到達で18年ぶりリーグ優勝の大きな原動力にもなり、新人王も最有力候補に挙がる。

 村上は躍進の1年にふさわしい数字を刻んだ。5回2失点で防御率1・68が1・75に変わっても、リーグ1位の座は揺るがない。同2・13で同2位のDeNA・東が逆転するには残り6試合で34回2/3自責0が必要なため、タイトル獲得は決定的になった。

 「(防御率は)目標にしていたので、すぐこんなふう(1点台)になるとは思っていなかった」

 規定投球回まで残り3回2/3で迎え、4回1死一塁で石川昂を右飛に仕留めて到達した。「100イニングを越えたぐらいから意識し始めた」という目標を達成。2回に逆転打を浴びた内容に納得はしなくても、ローテーション投手としての勲章を手にした充実感を漂わせた。新人王の最有力候補でもあり、防御率とのダブル獲得なら99年の上原浩治(巨人)以来。完全無欠の“ルーキー”の疾走は最後まで輝きを失わなかった。

 4月12日の巨人戦の7回完全での降板劇は躍進のきっかけであり、「先発投手」としての矜持(きょうじ)を教えてもらった出来事だ。快投を称える声、交代に同情を寄せる声が多かった中でコンビを組んだ坂本からは、厳しい言葉を投げかけられた。

 「先発たるもの、マウンドに上がった以上は最後まで投げ切る気持ちを忘れたらあかんで。その気持ちを忘れないでおこうな」

 それから、何度も、あの日の自分と女房役の言葉を重ね合わせて決意を強くした。

 「ヒットもゼロ、四球も出していない、あんなピッチングでも降ろされるということは、まだまだ信頼されていないということ。自分だったから代えられたと思うし、誠志郎さんの言葉通りだなと。9回を投げるのはきついし、7回まで投げるのも大変だな…と感じた試合だった」

 運命を変えたマウンドから5カ月以上が過ぎ、立派な「先発投手」に成長を遂げた。快挙が未遂に終わり、白星もつかなかった「4・12」は、いまも虎の新星の原点だ。「CSまでに課題をつぶしていきたい。誠志郎さんと話しながらまたやっていきたい。今日はもっとしっかり投げたかった」。まだ進化する余地、まだ腕を振る舞台は残っている。一息つくのは、もう少し先だ。(遠藤 礼)

《前年未勝利投手がタイトルならセ52年ぶり》プロ3年目の村上(神)が初めてシーズン規定投球回の143回をクリア。防御率1.75で初のタイトルもほぼ確定させた。村上は昨季までの2年間で未勝利からの躍進。前年まで未勝利の投手が最優秀防御率のタイトル獲得は、71年藤本和宏(広=5年目)、79年山口哲治(近鉄=2年目)、00年戎信行(オ=10年目)の過去3人。村上が獲得すれば23年ぶり、セ・リーグでは52年ぶり2人目になる。

 《72年ぶり快挙なるか》新人王の資格(5年以内、前年まで登板30イニング以内)を有しており、有力候補。最優秀防御率とダブルで獲得すれば99年新人の上原浩治(巨)以来。新人以外では51年、3年目の松田清(巨)以来72年ぶり2人目の快挙だ。

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