仙台育英・須江監督が「誇り」と話した敗戦後のナインの行動 「金と銀、2つ持っているのは幸せ」

[ 2023年8月23日 19:50 ]

第105回全国高校野球選手権記念大会最終日・決勝   仙台育英2―8慶応 ( 2023年8月23日    甲子園 )

インタビューを受ける慶応の森林貴彦監督に拍手する仙台育英の須江航監督
Photo By 代表撮影

 大会最終日の決勝が行われ、連覇に挑む仙台育英(宮城)と、1916年以来107年ぶり2度目の優勝を目指す慶応(神奈川)が対戦。仙台育英は2―8で敗れ、史上7校目の夏連覇はならなかった。

 慶応の優勝インタビュー前に敵将へ拍手をおくり「慶応がただただ強かった。完敗です。選手たちも最高のプレーをしてくれた。点差は開いたけれど、今まで以上の最高のベストゲームだった。2年間で頂点、そしてあと1つの悔しさ共に味わうことができた。人生は敗者復活です。この経験を次に生かします」とサバサバとした笑顔。「2年続けてこの決勝の舞台に連れてきてくれた3年生に対して感謝を伝えたい」と述べた。

 そして、須江監督は記者とのやりとりで「2年連続決勝の舞台に立てるなんて奇跡だと思いますし、金メダルと銀メダルを2つ持っているなんて、幸せな人生だなと思いますね。強かったです」と振り返った。

 先頭打者アーチから始まった試合。「声援に飲まれた感じはなかったが、丸田くんのホームランが試合の大勢を決めた。球場の雰囲気も慶応空間になったので。そりゃ、百何年の歴史で初めての先頭打者ホームランだったら、打った子をほめるしかない」と語った。

 初回、5回のミスについては「風を考慮していれば良かったなというプレーもあった。声援だけが理由じゃないと思います。飲まれている感じはしませんでしたけどね、単純に強かったです相手が。あれだけいいスイングされて、いい打球が飛び続けたら、ちょっと緊張感が増してしまう」とサバサバと話した。

 常にナインの顔を見て、前向きな言葉をかけ続けた。「やられているときは、せっかくの甲子園の決勝、2年連続の奇跡の決勝の舞台なのに、ちょっと暗かった。“ここは甲子園だよと。飛び切りの笑顔を見せてほしいな”とずっと言っていた」と話した。

 「負けたのが慶応さんで良かったなと。取り組みも秀逸ですし、もちろん選手の技術、フィジカルもあって、エンジョイ・ベースボールの神髄だと思いますけど、楽しむために一生懸命やろうよという下地もある。その上で思考力が高いので。このチームに負けるんだったら、仕方ないというか。不思議ですね、もっと悲しいかなと思いましたが、慶応さんを称えたいと心から思いました。これが本心です、120%の」と話していた。

 「最終日で勝つ喜びと、負ける悔しさ、両方味わえたので。人生は敗者復活戦だと思っている。もっとこうなってほしいなと思わないところまできたので、十分じゃないですかね」と須江節で選手を称えてた上で、最後にこう付け加えた。

 「とにかく負けた時に人間の価値が出るから、グットルーザーであれと言い続けてきた。選手が(慶応のインタビューの)全部のコメントに拍手をしていた。それが誇り。僕たちが真の王者となれる日がきたらいいですね」と締めくくった。

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