【甲子園】好勝負制した仙台育英　須江監督の決断、スクイズ見事に決めた尾形選手を褒めるべき

第105回全国高校野球選手権記念大会第11日3回戦   仙台育英4―3履正社 （ 2023年8月17日    甲子園 ）

福島敦彦氏

【福島敦彦の迫球甲子園】　投打ともに互角の力をもち、期待通り、終盤の1点が勝敗を決する好ゲームだった。

　仙台育英の決勝点はスクイズ。両校とも下位打線まで好打者が並び、それまでの全得点は打って取ったもの。スクイズは想定される作戦だが、終盤だけに失敗すれば一気に流れが相手に傾く危険性もある。1、2回戦とも危なげなく勝った仙台育英が今大会、初めて経験する終盤での接戦。昨夏を制した経験も大きかったと思うが、須江監督の決断、そして高めのボール球を見事に決めた尾形君を褒めるべきだろう。

　履正社は増田君、福田君の両左腕がよく投げた。増田君の失点はいずれも2死無走者から下位打線が絡んだものだが、それだけ重圧を感じた中での投球だったということだ。ひとつ残念だったのは敵失が3つもあった3回の攻撃。1点を勝ち越し、なおも1死一、三塁で西田君が2球目を空振りし三塁走者がアウトになった場面。鋭い変化球だったがバットに当てて転がしさえすれば2点差となり相手に与えるダメージも違ったものになっていただろう。　（報徳学園、慶大、中山製鋼元監督）