広島・小園 「心」を磨く日々「ワンランク上にいけたら」首脳陣の期待大

[ 2023年6月21日 07:00 ]

広島・小園
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 登録抹消から約2カ月。広島の小園海斗内野手(23)が1軍の表舞台から姿を消して久しい。現在は心技体の「心」を磨くことに主眼を置き、プロ野球人・小園海斗を再構築しようと、2軍で必死に汗を流す毎日だ。逸材を逸材らしくいかに鍛え直すか。その現在地を探ると、目先の欲にとらわれない、新井貴浩監督(46)ら首脳陣の長期的な育成方針が見えてきた。 

 6月某日の山口県岩国市・由宇球場。小園は、スター最前線を目指す他の若ゴイたちと共に2軍本拠地で汗にまみれていた。技術を磨きながら、体と心を鍛え直す。とりわけ、主眼を置くのはハートの部分だ。当の本人が足元を見つめて言う。

 「自分がやってきたことなんで、そこは受け止めてやるしかないと思っています。自分は完璧と思っていないし、悪いのは自分。それが一番です」

 8番・ショートで先発した4月18日の阪神戦(甲子園)。0―0の8回1死一塁で小園は、サインを確認した上に送りバントを失敗した。開幕から5試合目の先発で、打率・053。翌19日から先発を外れ、21日に出場選手登録を抹消された。

 首脳陣が問うたのは結果や数字ではない。状況判断は、心の準備はできていたか。新井監督をして「すごいポテンシャルの持ち主」と言わしめる23歳。逸材であるがゆえにありがちな軽いプレー、ポカの類いも散見されていた。小園は抹消前のやり取りを振り返る。

 「新井監督には“期待が大きいから、(将来的に)絶対に出なアカン存在やから、全てにおいて、周りにも目配りできるようになって、はい上がってこいよ”と言われました」

 遊撃手として2年連続で規定打席をクリアした。1軍で試合に出れば相応の数字を残すだろう。首脳陣は、しかし、小園海斗という選手の将来像に目を向ける。チームをけん引してほしい逸材だからこそ、この機会にイチから姿勢を問い直す。

 厳しくも愛情あふれる処遇。2軍の高信二監督は、小園の今について「ファームに来た時とは全然違う。先日は、体で止め損なったイレギュラーの打球を“今のは捕れたですかね?”と聞いてきた。前向きだし、必死さも出てきた」と語った。

 本人は気を抜いたつもりがなくても、周りにはそう映るプレーや所作があった。それをスルーせず、良くないものは良くない…と、今では指摘される。小園は「なかなか言ってもらえないのでありがたいこと」と感謝し、言葉に力を込める。

 「打てない時でも守備で貢献し、投手に声掛けしたり。悪い時ほど意識してやっています。この機会に(試練を)乗り越えてワンランク上にいけたら。それだけですね、今は」

 2軍鍛錬に期限は設けられていない。乗り越えれば小園の視野は大きく広がり、スター最前線により近づく。 (江尾 卓也)

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